高部正樹

高部正樹は、1964年に愛知県で生まれました。幼少期からパイロットや歩兵への憧れを抱き、高校卒業後に航空自衛隊に入隊。航空学生課程を修了後、飛行幹部候補生として戦闘機パイロットを目指す訓練を受けましたが、訓練中に負った怪我が原因で罷免されました。自衛隊には、飛行幹部候補生を罷免された者に対して、他の職種への配置転換を行う救済措置がありますが、高部自身はそれを拒否し除隊しました。

その後、幼い頃からの夢であった「最前線で戦う兵士」になるため、1988年にアフガニスタンへ単身で渡航。ムジャーヒディーンの一派に加わり、ソ連軍との戦闘や、その後の内戦を経験しました。1990年代には東南アジアに拠点を移し、カレン民族解放軍に参加。ミャンマー軍事政権との独立闘争に身を投じました。1994年から1995年にかけては、クロアチアの傭兵部隊に所属し、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争にも参戦しました。

2000年代には、民間軍事会社に雇われイラクへ派遣される予定でしたが、足の骨折のため断念。過去にはイラクのサダム・フセイン政権からオファーを受けていたこともありますが、いずれも実現には至りませんでした。

傭兵を引退後は、ジャーナリスト、軍事評論家として活動を開始。タイやミャンマーの情勢に詳しく、現地の言葉を操り、紛争地域での取材やコーディネーターとしても活動しています。また、近年では映画やドラマの軍事、アクション監修も手掛けています。

高部は、戦場での経験から「殺害」に対する抵抗感が薄れることや、軍隊内で敵を作らないことの重要性を語っています。また、戦場の影響で暗い場所で眠ることができなくなり、夜は明かりをつけた部屋でしか寝られないという体験も明かしています。

高部の著書には、『戦争ボランティア』、『戦争志願』、『戦争理由』などがあり、傭兵としての実体験を基にした作品を多数出版しています。また、多くのテレビ番組にも出演しており、その独特な経歴と語り口は、視聴者の関心を惹きつけています。

東日本大震災の際には、ボランティアとして被災地に支援物資を届けただけでなく、福島第一原子力発電所事故の責任を追及するため、当時の首相らを告発するという行動も起こしています。

高部正樹は、その波瀾万丈な人生経験を通して、戦争の現実、人間の心理、そして危機管理の重要性を私たちに伝えてくれる人物と言えるでしょう。

年表
1964年：愛知県に生まれる
1982年：航空自衛隊に航空学生として入隊
1988年頃：訓練中の怪我で空自を除隊。アフガニスタンのムジャヒディンに加わる
1990年：東南アジアに拠点を移し、カレン民族解放軍に参加
1994年：ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争に参戦
1995年：再びカレン民族解放軍に参加
2007年：傭兵を引退。執筆活動やカレン民族解放軍の集会に参加
2011年3月：東日本大震災の被災地を支援。福島原発事故の責任者を告発

主な著書
『戦争ボランティア』（1995年）
『戦争志願』（1996年）
『戦争理由』（1998年）
『傭兵のお仕事』（2001年）
『傭兵の誇り』（2001年）
『今知るべきコンバットサバイバル』（2004年）
『傭兵の生活』（2005年）
『戦友 名もなき勇者たち』（2008年）
『実録!!傭兵物語〜WAR DOGS〜』（2011年）
『傭兵が教える危機管理の心得』（2012年）
『日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし』（2020年）
『日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし』第2巻（2022年）
* 『日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし』第3巻（2024年）

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