高野口駅

高野口駅：歴史と現在を繋ぐ和歌山線の駅

和歌山県橋本市高野口町に位置する高野口駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）和歌山線に属する駅です。高野山参詣道沿いにあり、古くから交通の要衝として栄えてきました。駅舎は、明治時代に建てられた木造建築で、歴史を感じさせる重厚な造りが特徴です。

駅建設：幾多の困難を乗り越えて

高野口駅の建設は、紀和鉄道の開業時から計画されていましたが、地元住民との間で幾度も協議が重ねられました。最大の課題は、駅周辺を流れる河川の改修でした。不規則な勾配を持つ河川は、度々洪水を引き起こしており、鉄道建設と同時に大規模な改修工事が求められました。線路に沿って河川を付け替えるという大規模な工事が行われ、多額の費用を要しました。さらに、駅西側の住民からは線路下にトンネルを設けるという要望があり、設計協議は難航しました。県の裁定を経て、ようやく建設が実現しました。また、駅東側の住民からは、土地の切り下げによる地下水脈への影響を懸念する声が上がり、建設計画の変更や補償を求めるなど、地元住民との合意形成には時間を要しました。

開業から現在まで：時代の変遷と駅の姿

1901年3月29日、紀和鉄道の駅として「名倉駅」が開業し、翌1903年1月1日には「高野口駅」に改称されました。その後、関西鉄道、帝国鉄道庁を経て、国鉄、そしてJR西日本へと運営会社が移り変わってきました。開業当初は貨物輸送も行われていましたが、1971年には貨物取扱いが廃止され、1984年には荷物扱いも廃止されました。2022年4月1日には終日無人化されましたが、自動券売機は設置されており、利便性を維持しています。2023年6月には台風による豪雨の影響で構内が被害を受け、橋本駅～粉河駅間が不通となりました。

駅舎と周辺環境：歴史と自然の調和

高野口駅は、相対式2面2線のホームを持つ地上駅です。無人駅ですが、駅舎内には自動券売機が設置されています。かつてはキオスクも営業していましたが、現在は撤去されています。トイレは駅舎外に設置されています。ホーム上には、地元の高校美術部員が制作した壁画が飾られています。駅舎は、明治45年建築の木造建築で、かつての高野山への参詣客でにぎわった様子を偲ばせます。駅周辺は、民家が密集しており、和歌山県道113号線が主要なアクセス道路です。南側には商店や織物工場が点在し、北側には織物資料館や高野口公園があります。京奈和自動車道（橋本道路）も近くを通っています。

アクセス：バス路線とその他

駅前に「高野口駅前」停留所があり、南海りんかんバスや橋本市コミュニティバスが発着しています。南海りんかんバスは、丹生都比売神社前と橋本駅前に向かう路線を運行しています。橋本市コミュニティバスは、橋本駅前や九重、竹尾方面への路線があります。また、駅スタンプや、地元ミュージシャンのミュージックビデオの撮影地としても知られています。

まとめ：高野口駅は、歴史と自然が織りなす、静かな魅力を持つ駅です。

高野口駅は、長年にわたる歴史と、地元住民との関わりの中で発展してきた駅です。高野山への参詣客だけでなく、地元住民の生活の足としても重要な役割を果たしています。駅周辺の環境や歴史を理解することで、より深く高野口駅の魅力を感じることができるでしょう。今後、台風被害からの復旧工事も進み、地域住民の生活や観光の拠点としての役割を担い続けることが期待されます。

もう一度検索