高陽郡 (中国)

高陽郡は、中国の歴史において、現在の河北省保定市周辺に存在した郡です。その起源は西晋時代に遡り、その後、南北朝時代、隋代、唐代にかけて、その名称や管轄地域は変遷を繰り返しました。

西晋の時代

265年（泰始元年）、司馬珪が高陽王に封じられた際、涿郡の一部が分割され、高陽国が設置されました。この高陽国は冀州に属し、博陸、高陽、北新城、蠡吾の4県を管轄しました。これが高陽郡の直接的な前身となります。

北魏の時代

南北朝時代に入り、北魏が華北を支配すると、高陽国は高陽郡と改称されました。400年（天興3年）には、定州に所属が変更され、さらに487年（太和11年）には瀛州へと管轄が移されました。北魏時代の高陽郡は、高陽、博野、蠡吾、易、扶輿、新城、楽郷、永寧、清苑の9県を管轄する広大な地域を治めていました。

隋代の終焉と唐代の始まり

隋代に入ると、583年（開皇3年）に郡制が廃止されたため、高陽郡も廃止され、瀛州に編入されました。しかし、613年（大業9年）には、一時的に博陵郡が高陽郡と改称されるという変遷もありました。唐代に入ると、621年（武徳4年）に高陽郡は定州と改称され、高陽郡としての歴史に幕を閉じました。

僑置高陽郡

南朝宋の時代には、別の高陽郡が存在しました。この高陽郡は僑置されたもので、冀州に属し、安平、饒陽、鄴、高陽、新城の5県を管轄していました。これは、南朝が北方の故地を懐かしみ、名目的に設置した郡であると考えられます。

このように、高陽郡は、西晋から唐代にかけて、その所属や管轄地域を変化させながら、北中国の歴史の一翼を担ってきました。その変遷は、当時の政治情勢や社会状況を反映しており、中国地方史研究において重要な意味を持っています。

高陽郡の存在は、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で不可欠であり、その歴史を紐解くことは、中国史研究の奥深さを知る一助となるでしょう。

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