鄴

鄴（ぎょう）：興亡の歴史を刻む古都

鄴は、中国の歴史において重要な役割を果たした地名であり、現在の河北省邯鄲市臨漳県を中心に、河南省安陽市安陽県にもまたがる地域に位置しています。春秋時代に斉の桓公によって建設された城塞都市がその始まりとされ、戦国時代には魏に属し、西門豹による灌漑事業によって繁栄しました。

戦乱の時代を経て

紀元前239年、鄴は趙に割譲されますが、間もなく秦によって攻略され、その支配下に入ります。後漢末期には軍事的な要衝となり、群雄の一人である袁紹が本拠地を置きました。204年、曹操が鄴を攻略し、自身の拠点とすると、後に魏公に任ぜられた曹操は、鄴を魏国の国都と定め、銅雀台をはじめとする壮麗な宮殿を建設しました。魏王朝が成立し、都が洛陽に移された後も、鄴は魏の主要都市として発展を続けました。

南北朝時代の都として

南北朝時代に入ると、鄴はその重要性を再び高めます。北魏から分裂した東魏を建国した権臣、高歓は鄴を都と定め、540年頃には新たな宮殿が完成しました。高歓の子である高洋が建国した北斉も、引き続き鄴を都としました。

尉遅迥の乱と city の終焉

しかし、北斉が北周によって滅ぼされた後、580年には尉遅迥が楊堅に反抗して挙兵し、鄴を拠点として抗戦しましたが、最終的に敗北。この戦いによって鄴城は焼き払われ、その繁栄に終止符が打たれました。

現代に残る遺構

現在、河北省邯鄲市臨漳県には鄴の遺跡が残されており、2.4km×1.7kmに及ぶ広大な城址は、民国時代から調査が行われてきました。1983年には大規模な発掘調査が実施され、城壁や街路など、当時の都市設計の概要が明らかになっています。これらの貴重な遺構は、1988年に全国重点文物保護単位に指定され、保護されています。

鄴は、春秋時代から南北朝時代にかけて、政治、経済、文化の中心地として栄え、数々の王朝の興亡を見守ってきた歴史的な都市です。その遺跡は、古代中国の都市構造や生活様式を理解する上で貴重な資料であり、多くの人々にその歴史を語りかけています。

関連事項

* 鄴の戦い (紀元前236年))

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