高階成章 (神職)

高階成章

高階成章（たかしな なりあき）は、大正3年（1914年）に兵庫県で生まれ、昭和54年（1979年）9月24日に逝去した日本の神職であり、神道学者です。橿原神宮の権宮司や奈良芸術短期大学の教授を務めました。

生涯

高階成章は、父である高階研一が諏訪神社の宮司を拝命したことをきっかけに長野県へ移り、早くから諏訪信仰に関する研究を始めています。昭和12年（1937年）3月には國學院大學史学科を卒業し、「足利氏の郷土に於ける信仰」という卒業論文を執筆しました。その後、内務省考証官補、神祇院考証官補、文部省国宝調査嘱託といった職を歴任しました。

昭和24年（1949年）6月30日には、父が宮司を務める橿原神宮の権宮司に就任しますが、私行上の問題により謹慎処分を受け、昭和29年（1954年）5月12日に一旦退任します。しかし、昭和32年（1957年）3月には父によって再び呼び戻され、同年4月3日に権宮司に復職しました。その後、橿原神宮の土地売却問題を巡り、父の横暴に対する告発事件が発生し、宮司・権宮司である父子は退陣を要求される事態となります。昭和39年（1964年）9月1日、高階成章は自ら辞職を申し出て退任しました。この退任に対しては、同年8月16日に開催された奈良県神道青年会の結成大会において、「戦後の混乱期から現在の神宮の姿にもりあげたのは、高階権宮司であった」と同情的な評価がなされました。

昭和41年（1966年）には、奈良芸術短期大学の教授に就任し、後進の育成に尽力しました。昭和54年（1979年）9月24日に生涯を閉じました。

業績

高階成章は、神道史や民俗学に関する多数の著書や論文を発表しました。特に諏訪信仰に関する研究は、その後の研究に大きな影響を与えています。また、橿原神宮の歴史や文化に関する研究も行い、その保存と継承に貢献しました。

著書

『鈴木重胤集』地平社、1944年
『神祇文化図説』影山畊四郎共編、芸艸堂、1948年3月
『大和石仏巡礼』駸々堂出版、1977年
『カラー熊野路の魅力』日竎貞夫写真、淡交社、1980年

主要論文

「信濃に於ける諏訪分社の分布について(上)」『信濃（第一次）』第4巻第5号、1935年5月
「諏訪神社分社の分布について(下)」『信濃（第一次）』第4巻第6号、1935年6月
「古事記に於ける建御名方神の再檢討」『信濃（第一次）』第4巻第11号、1935年11月
「神武天皇紀を構成する二要素」『國學院雜誌』第46巻第11号、1940年11月
「姥嶽の大蛇」『悠久』第2巻第1号、1949年4月
「米国に於ける神道運動」『神道史学会』第1巻第4号、1953年
「人霊奉祀神社の成立過程」『國學院雜誌』第60巻第8号、1959年8月
「大物主神と崇神天皇紀」『神道史研究』第9巻第6号、1961年11月
「古事記と天武天皇十年の記定」『國學院雜誌』第63巻第9号、1962年9月
「日本書紀に於ける熊野」『國學院雜誌』第64巻第2・3号、1963年3月
「神道と自然美」『國學院雜誌』第64巻第5・6号、1963年6月
「沖縄の宗教雑観」『神道宗教』第31号、1963年6月
「大和国の式内社について」『國學院大學日本文化研究所紀要』第17号、1965年9月
「一神教の風土と神道」『國學院大學日本文化研究所紀要』第19号、1966年12月
「諏訪神社の研究」『神道史研究』第23巻第5・6号、1975年11月
「春日鎮祭の宗教的事情について」『季刊日本思想史』第5号、1977年

栄典

1940年（昭和15年）11月10日、紀元二千六百年祝典記念章を受章。

高階成章は、神道研究における重要な足跡を残し、その業績は今日においても高く評価されています。

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