高階研一

高階研一：激動の時代を生きた神職

高階研一（たかしな けんいち、明治18年〈1885年〉11月25日 - 昭和42年〈1967年〉10月4日）は、日本の神道界において重要な役割を果たした神職です。明治時代末期から昭和時代後期にかけて、数々の主要な神社の宮司を歴任し、神社本庁の要職も務めるなど、「神社界の重鎮」としてその名を知られました。

生い立ちと学問

高階研一は、明治18年（1885年）に兵庫県で生まれました。國學院大學では、後に著名な民俗学者となる折口信夫と同期であり、生涯にわたる親交を結びました。また、佐佐木高行の私邸に下宿し、書生として生活する中で、高山昇や斎藤英夫といった人物とも交流を深めました。明治43年（1910年）に國學院大學を卒業後、神職としての道を歩み始めます。

神職としてのキャリア

高階研一は、明治44年（1911年）に生田神社の主典に就任したのを皮切りに、丹生川上神社、石上神宮、廣田神社、札幌神社（現在の北海道神宮）、諏訪神社（現在の諏訪大社）、橿原神宮といった、名だたる神社の宮司を歴任しました。特に札幌神社（北海道神宮）の宮司時代には、札幌祭に維新勤王隊を導入するなど、祭の改革に尽力しました。また、札幌敬神講社を設立し、地域住民の信仰心の醸成にも貢献しました。

戦時下の活動と苦悩

昭和17年（1942年）に橿原神宮の宮司に就任すると、戦時体制下において、大政翼賛会や軍部との関係を深めました。橿原神宮には多くの政治家や軍人が参拝に訪れ、高階研一と共に記念写真を撮影しています。また、海軍に献納した資金で製造された飛行機に「金鵄号」と名付けることを提案するなど、戦時協力の姿勢を示しました。しかし、終戦後には、これらの活動が批判の対象となり、苦悩することになります。

戦後の神社界改革と神社本庁

終戦後、高階研一は神社界の刷新に尽力し、神社本庁の設立に深く関与しました。奈良県神社庁の初代庁長に就任し、その後、神社本庁の事務総長として、宗教法人法の制定や神道新生活運動の推進など、戦後の神社界の再建に大きく貢献しました。しかし、昭和28年（1953年）には、参議院議員選挙への立候補を巡り、橿原神宮総代会の反対を受け、立候補を辞退するという苦渋の決断を迫られました。その後は、神社本庁の顧問として、後進の指導に当たりました。

晩年

晩年は、橿原神宮の宮司として、神社の発展に尽力しました。昭和42年（1967年）10月4日に81歳で亡くなりました。葬儀は、奈良県神社庁と橿原神宮の合同葬として執り行われました。

高階研一は、激動の時代を生き抜き、日本の神道界に多大な貢献をした人物として、その名が記憶されています。

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