高麗・李氏朝鮮の対馬侵攻

高麗・李氏朝鮮の対馬侵攻

高麗・李氏朝鮮による対馬への侵攻は、14世紀末から15世紀初頭にかけて行われ、特に倭寇の拠点とされる対馬を攻撃の対象としました。この侵攻は、倭寇を根絶することを目的として企画されたものでした。

1389年の侵攻

1389年、旧暦の2月に高麗軍が船舶100艘を率いて対馬に侵攻しました。司令官には朴葳が任命され、金宗衍や崔七夕、朴子安が従軍しました。「高麗史」や「高麗史節要」に記載されているところによれば、高麗軍は日本船300艘を焼き尽くし、捕らえられた者を100人以上救出したとされています。帰国後は昌王から賞賛を受けることとなりました。

日本側の歴史資料「宗氏家譜」には、同年の2月18日に高麗軍が追い返されたと記されており、これを「康応の外寇」と呼称しています。ただし、この記録は後の時代に「高麗史」などを基にしてまとめられたもので、当時の日本側の具体的な記録は存在しません。同様に「対州編年略」や「津島紀事」も後世の伝承を採用して記述されており、信憑性は異なります。《高麗史》の内容を基にした後の日の観点から見れば、日本の史実との整合性が取れない部分も否めません。

韓国の現代史料では、この1389年の攻撃が倭寇に対して大勝利であったとされていますが、実際にはその後も倭寇の活動は継続していたことが次の記録によって示されています。著名な歴史家・スティーブン・タンブルは、損失があったにせよ韓国側の情勢をそのまま受け入れた記録を残しました。

1396年の侵攻

1396年、12月に李成桂が壱岐と対馬を攻撃するよう命じました。金士衡が指揮官に選任され、南在、辛克恭、李茂らが彼の部下として出陣しました。この間、日本側の文献には朝鮮軍の侵攻に関する記録は見受けられません。ただし、朝鮮王朝実録には1397年1月に降伏した倭寇首領の羅可温に関する事件が記されています。彼は役人を人質に逃亡しますが、やがて帰順し官職を与えられました。

韓国ではこの出来事を「第2次対馬島征伐」としていますが、実際にはその後も倭寇の帰化や帰順が続き、対馬地域では混乱も伴ったことにより、倭寇の活動は再び活発化しました。

1419年の侵攻

1419年に発生した侵攻は「第3次対馬島征伐」と呼ばれていますが、詳細の記録はあまり残っていません。この時期、対馬における日本と朝鮮の関係は緊迫しており、確かな情報は限られています。

参考文献と外部リンク

対馬侵攻をテーマとした研究は数多く行われており、各種の文献が存在します。特に「厳原町史」や村井章介の『中世倭人伝』、田中健夫の『倭寇』など、これらは歴史的背景を理解する上で重要な文献となっています。これらの資料は、対馬侵攻の静かな歴史の中で、どのような出来事があったのかを明らかにする手助けとなるでしょう。

公式な資料に関しては、韓国古典総合DBや国立国会図書館のデジタルライブラリを参照することができます。

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