鬪雞神社

鬪雞神社（とうけいじんじゃ）について

概要

鬪雞神社は、和歌山県田辺市に位置する歴史ある神社です。正式な名称としては「鬪雞神社」が使われていますが、宗教法人名は「鬪鷄神社」となり、様々な表記がなされています。昔は「田辺宮」、「新熊野」、「新熊野雞合大権現」とも呼ばれ、一般には「権現さん」として親しまれています。かつて県社に属していたこともあり、現在は神社本庁の別表神社として認識されています。

歴史

創建について

神社の創建は、允恭天皇8年（419年）9月とされますが、詳細な歴史は不明確です。一部の記録では、天武天皇の時代の684年にも建立されたということが記されています。田辺湾の神島に神光が上がる様子が伝えられており、これを基にした龍神信仰が、この地の自然崇拝の祭祀を形成していったと考えられています。

中近世の発展

紀伊続風土記や江戸時代の文献によると、12世紀前半には熊野別当の湛快が熊野三所権現を勧請したことが記されています。これにより神社は聖地として整備され、「新熊野権現社」と名付けられました。この神社の名前の由来は、『平家物語』にある鶏合わせの神事に関連しています。この物語では、源平合戦の際に熊野別当の湛増が社地の鶏を闘わせ、その結果を受けて源氏に協力することを決定しました。このエピソードにより「鶏合大権現」「鶏合宮」などの呼称も使われるようになりました。

しかし、15世紀末の二度の戦乱により、神社は焼失し荒廃しました。完全な再建には約150年を要しましたが、慶長5年（1600年）に田辺領主として新熊野権現の再興を提唱した浅野左衛門佐により復興が図られ、その後も紀州徳川家の統治のもとで信仰を集めるようになりました。

近現代の展開

明治時代に入り、神仏分離が行われた際、神社は「鬪雞神社」として正式に名称を確立しました。1871年には郷社、1873年に村社、1881年には県社に昇格しています。そして、1971年には神社本庁の別表神社に追加登録され、2016年には世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも登録されるなど、その重要性が認められています。

熊野神社としての意義

現存する社殿は、近世に再建された6棟で構成されており、仮庵山を背にした形で東から西へと並んでいます。最も古い上殿は1658年に建てられ、寛文元年（1661年）には本殿が寄進されました。中殿や下殿、八百萬殿も1748年に再建され、これらの社殿群は江戸時代における神社建築の貴重な例として重要文化財に指定されています。

各社殿ではそれぞれ異なる神々が祀られており、本殿では伊邪那美命、西殿では速玉之男命と事解之男神、上殿では伊邪那岐命、天照皇大神などが祭神とされています。これによりこの地の信仰の多様性が浮き彫りになっています。また、境内には多様な神社や神々が存在し、地域の伝統や文化が息づいています。

祭事と地域の信仰

鬪雞神社では、四季折々の祭事が行われ、地元の人々の信仰の象徴とされています。御田祭、夏越大祓式、例大祭（田辺祭）などが代表的な行事であり、特に例大祭では多くの参拝客が訪れ、賑やかに行われます。さらに、毎月第三日曜日には弁慶市が催されるなど、地域の活性化にも寄与しています。

交通アクセス

神社へはJRきのくに線の紀伊田辺駅からのアクセスが便利で、多くの参拝者が訪れています。周辺には豊かな自然と歴史が広がり、訪れる人々にとって特別な場所となっています。鬪雞神社は、伝統的な信仰と文化を大切にしながら、今日も地域の人々に愛され続けています。

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