鬼室福信

鬼室福信について

鬼室福信（きしつ ふくしん、生年不詳 - 663年）は、百済王族の将軍であり、特に義慈王の父である武王（余璋）の甥として知られています。彼は恩率（三品官）という地位を持ち、後に佐平（一品官）に昇進しました。彼は鬼室氏の祖であり、将来的にも百済史に大きな影響を与える人物として評価されています。

福信は663年に亡くなるまでの間に数々の歴史的事件に関与しました。特に、660年に百済が唐と新羅の連合軍によって滅亡した際には、彼の役割が際立ちました。旧臣たちを束ねて抵抗運動を展開し、百済の故都である泗沘城の奪還を試みました。当時、義慈王の王子であった余豊璋は、倭国との同盟の人質として滞留していたため、福信は彼の帰国と倭国からの軍事支援を求めました。

この要請を受けて、斉明天皇と中大兄皇子は福信の抗戦運動を支持し、翌年の正月には自身が筑紫に遠征することを決定しました。これによって百済復興の道が開かれました。

歴史文献『百済本紀』や『旧唐書百済伝』によると、豊璋は662年5月に福信の待つ百済に入国しました。この時、福信は彼を迎え、国政を委任するようになります。倭国はその後も福信に対して軍需物資を提供し、福信も捕虜の唐人を倭国に送ったとされています。

しかし、福信の道は決して平坦ではありませんでした。663年6月、百済王の豊璋は福信の謀反を疑い、彼を捕らえました。この時、彼は福信を斬るべきかどうかを諸臣に問いました。結果として、福信は処刑され、その首は塩漬けにされたとされています。

福信には近親者と思われる鬼室集斯がいて、彼は天智天皇から福信の功績によって小錦下の位階を与えられました。集斯は百済の民と共に近江国に住居を与えられ、その後も移住を余儀なくされる事態となりました。

また、鬼室福信は大韓民国の忠清南道扶余郡にある恩山別神堂で祀られています。一方、鬼室集斯の墓所は滋賀県蒲生郡日野町にある鬼室神社にあります。

彼を演じた俳優にはキム・ヨンギがあり、2013年に放送された韓国のドラマ『大王の夢』での演技が話題となりました。このように、鬼室福信の存在は歴史上の重要な位置を占めており、彼の物語は多くの人々に語り継がれています。彼の行動と勇気は、百済の歴史だけでなく、後世にも影響を与え続けているのです。

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