鬼押出し園

鬼押出し園：浅間山の噴火が生んだ奇景

鬼押出し園は、群馬県嬬恋村に位置する、浅間山の噴火によって形成された溶岩地形が広がる観光施設です。1783年の天明大噴火によって流れ出した溶岩が冷え固まり、独特の景観を作り出しています。この地は、プリンスホテルズ＆リゾーツによって運営されており、自然の驚異と静寂が共存する場所として知られています。

浅間山観音堂

園内には、東京上野の寛永寺の別院である浅間山観音堂が建立されています。この観音堂は、浅間山の噴火で亡くなった人々を弔うために1958年に建てられました。自然の猛威と、それに対する人々の祈りが感じられる場所です。

歴史

この地の観光開発は、西武グループの創業者である堤康次郎氏によって始められました。1919年にこの地を訪れた堤氏は、軽井沢に近い立地に着目し、観光開発を計画しました。1920年には、鬼押出し六里ヶ原の国有地が払い下げられ、道路整備やバスの運行が開始されました。1935年には、遊歩道や展望台「岩窟ホール」が建設され、1951年に「鬼押出し園」として営業を開始しました。

競合施設「浅間園」の存在

太平洋戦争後も西武グループによる開発が続けられましたが、1950年代には東急グループも北軽井沢に進出し、鬼押出し園の隣接地に「鬼押出し・浅間園」を開設しました。これにより、現在まで二つの自然公園施設が並立しています。鬼押出し園は、公式には浅間園について言及していません。この二つの施設は、旅行者によって混同されることもありましたが、かつての時刻表には「乗り換えができない」旨の注意書きがされていました。

鬼押出しの溶岩

鬼押出しの溶岩は、天明大噴火の際に噴出した溶岩流が凝固したものです。噴火時に鬼が暴れて岩を押し出したように見えたことから、「鬼押出し」と呼ばれるようになりました。この溶岩は、長さ5km、幅1〜2km、厚さ約30mにも及びます。当初は普通の溶岩と考えられていましたが、近年の研究により、火砕物が溶けて固まった特殊な溶岩であることが明らかになりました。この発見は、天明浅間山噴火のメカニズムを解明する上で重要な手がかりとなっています。

関連施設

近隣には、嬬恋村営の資料館である「嬬恋郷土資料館」があります。この資料館では、浅間山の大噴火による災害とその復興の歴史について学ぶことができます。鬼押出し園との共通券も発行されており、両施設を訪れることで、より深くこの地域の歴史や自然について理解を深めることができます。

まとめ

鬼押出し園は、浅間山の噴火によって生まれた壮大な景観と、その歴史を伝える観光施設です。自然の力強さ、そして、人々の祈りと復興の歴史を感じることができる場所として、多くの人々に愛されています。隣接する浅間園との関係や、溶岩の特殊性など、興味深いポイントも多く、訪れるたびに新しい発見があるでしょう。

参考文献
嬬恋村観光協会
鬼押出し園
* 浅間山観音堂

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