魔界転生 (2003年の映画)

魔界転生（2003年映画）

『魔界転生』（まかいてんしょう）は、2003年に公開された日本のアクション時代劇映画です。1981年にも映画化された山田風太郎の同名小説を原作とし、平山秀幸が監督、窪塚洋介と佐藤浩市が主演を務めました。

ストーリー

島原の乱で命を落とした天草四郎時貞が、従者のクララお品を伴い、堕天使のごとく蘇ります。それから10年後、3代将軍徳川家光の時代。四郎は徳川幕府の滅亡を目論み、鷹狩りに訪れた野心家の徳川頼宣を挑発します。そして、秘術によって蘇らせた荒木又右衛門、宮本武蔵、宝蔵院胤舜といった、現世に無念を抱く魔界衆を差し向けます。柳生十兵衛は、秘術の生贄として誘拐されたおひろを救うため、柳生衆と共に戦いに身を投じることになります。魔界衆を打ち破られた四郎は、クララお品の身体を利用して徳川家康までも転生させ、更なる混乱を巻き起こします。

キャスト

天草四郎：加瀬康之
柳生十兵衛：大川透
クララお品：高森奈緒
お雛/おひろ：細野雅世
宝蔵院胤瞬/荒木又右衛門：清水敏孝
宮本武蔵/徳川頼宣/柳生但馬/ナレーション：高瀬右光

スタッフ

監督：平山秀幸
原作：山田風太郎
製作：「魔界転生」製作委員会（東映、角川書店、日本テレビ放送網、TOKYO FM、讀賣テレビ放送、日本出版販売、東映ビデオ）
特技監督：佛田洋
* 視覚効果統括：橋本満明

製作の背景

特撮は、1981年版で特撮を担当した矢島信男の弟子である佛田洋が担当しました。視覚効果統括の橋本満明は、合成会社でのアルバイト時代に1981年版に携わっています。デジタル技術の向上により、1981年版では映像化できなかった原作のシーンがCGで再現されました。

原作の魔界転生をCGで再現しており、性的描写はないものの、女性の身体が割れて魔界衆が誕生する様子が描写されています。当初、佛田は原作に沿った性的描写を構想していましたが、平山秀幸監督によって却下されました。転生シーンの描写案は難航し、撮影中盤以降に決定されました。

クライマックスの江戸城崩壊シーンは、佛田と橋本の案により、江戸城に十字の亀裂が入るという描写となりました。佛田は1981年版を担当した矢島から「前と同じことをやっても仕方ないから、今の技術で違うことを考えろ」と言われたといいます。平山監督の江戸城を再現するという意向により、時代劇では一般的な姫路城を用いた実景ではなく、ミニチュアで撮影されました。

その他、魔界衆の目が十字架のように変わる演出や、1981年の映画では描写されなかった「島原の乱」の合戦シーンが竹田城で撮影されました。十兵衛は当初隻眼ではなく、後に隻眼となります。平山監督のイメージ案として、ギュスターヴ・ドレによる『神曲』の挿絵をモチーフとした「翼の生えた天草四郎」があり、寺田克也によるイメージビジュアルなどに取り入れられています。

公開と評価

全国230の劇場で公開され、2003年4月26日・27日の全国週末興行成績（興行通信社調べ）では、観客動員数8位で初登場しました。しかし、やや期待外れの出足となり、『RED SHADOW 赤影』（2001年）の興行収入7億円前後を目指すスタートとなりました。公開2週目は10位にランクダウンし、最終的な興行収入は6.4億円となりました。本作は、前年に東映の社長に就任した岡田裕介が社運をかけて製作したものの、『RED SHADOW 赤影』に続き、大コケした大作映画の一つと評されています。

ゲーム

2003年7月31日には、『魔界転生』のタイトルでPS2専用ソフトが発売されました。開発はタムソフト、販売はディースリー・パブリッシャーが担当しました。山田風太郎が原案としてクレジットされており、本映画をベースにしています。秘術の生贄に誘拐されたヒロイン・おひろを救出するため、柳生十兵衛を操作して攻略していくローグライクゲームです。魔界衆を統べる首魁が天草四郎とクララお品のカップル、おひろとお雛が双子の姉妹になっているなど、ゲーム独自の要素も加えられています。発売に際しては、日枝神社で厄除け祈願が行われました。SIMPLE2000シリーズとして、2005年に廉価版が再販されています。

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