魔龍戦紀

『魔龍戦紀』（まりゅうせんき）

『魔龍戦紀』は、AICが制作したOVAであり、1986年から続く日本のアニメーションの中の重要な作品の一つです。通称「C.MOON」レーベルの下で生まれたこの作品は、前作にあたる『Call Me トゥナイト』や『学園特捜ヒカルオン』と同様に、青年向けの層をターゲットにしています。これらの作品は共通して美少女キャラクターを特徴としているなか、特に『魔龍戦紀』は陰陽道やスプラッターといった要素を盛り込み、斬新な物語を展開しています。

制作背景と評価

1986年に始まったこのシリーズは、美少女要素に加え、開催当時の日本の文化や伝説を取り入れた面白みがあります。しかし、第2巻以降は様々な制作上の都合により、リリースが大幅に遅延し、さらには作画のクオリティも海外への外注が増えたため、希望したレベルには至りませんでした。

それにも関わらず、アニメ監督の川尻善昭は、この作品を評価し、特にキャラクターデザインと作画監督を担当した恩田尚之の腕前を称賛しました。彼はその後自らが手掛ける1988年のOVA『魔界都市〈新宿〉』に恩田を作画監督として起用しました。

ストーリーの概要

物語は天朝の時代に始まります。鬼道を駆使して影から政を操っていた鬼道衆は、殿上人たちによって一族が追放され、道祖も命を落とします。この悲劇から数百年後、鬼道衆は道祖の復活を狙い、四聖獣を現世に呼び戻そうと計画します。しかし、それを察知した玄道法師によって鬼道衆の頭目が討たれ、四聖獣のうち三体の気は次々と消えていきます。

物語は1989年の東京に舞台を移し、千代妓美鬼というキャラクターが、聖獣の気を持つ二人—比勇恭一と村瀬詩穂—を目当てに動き出します。恭一は聖獣として変化しつつある中、詩穂と共に行方を探る玄道法師とその仲間たちが立ちはだかります。物語はこの混乱の中で展開し、再び鬼道大社を舞台に、美鬼と他のキャラクターたちとの対立が繰り広げられます。

主要キャラクター

• - 比勇 恭一（ひゆう きょういち）: 陶芸家であり、白虎の気を持つ。天朝の時代から美鬼と因縁を持ち、彼女との戦いの中で命を落とす。
• - 千代妓 美鬼（ちよえ みき）: 鬼道衆の頭目として詩穂を自らのものにしようとするキャラクター。その手段として魂を取り込もうとしますが、悲劇的な結末を迎えます。
• - 村瀬 詩穂（むらせ しほ）: 朱雀の気を持つ女子高生。捕えられた後、自身の魂を犠牲にして敵に立ち向かう決意を見せます。
• - 玄道（げんどう）: 恭一の育ての親であり、鬼道衆との抗争の中で自らの運命を迎える。

制作スタッフと漫画化

『魔龍戦紀』の原案は大上浩明が手掛け、制作には多くの才能豊かなスタッフが関与しています。1994年には漫画版以降の続編がリリースされ、作画は高群保が担当しましたが、原作の遅延のため続編のコミカライズは行われていない点が残念です。

結語

『魔龍戦紀』は、アニメーションの可能性を広げる作品であり、独自の魅力を持っています。昭和時代の日本の文化や神話を題材にしたアニメーション作品を楽しむ方々にとって、このOVAは見る価値があるものと言えるでしょう。

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