魚津城の戦い

魚津城の戦い

魚津城の戦いは、天正10年（1582年）において、織田信長軍と上杉景勝軍が対峙した重要な戦闘です。この戦闘の背後には、信長と景勝を取り巻く政治的背景や敵対関係が影響しています。

開戦の背景

上杉氏と織田氏は、甲斐の武田氏や相模の後北条氏と同盟を結んでいましたが、天正4年（1576年）の頃、上杉謙信が織田氏の敵である本願寺と和平を結ぶことにより、両者の同盟は崩壊しました。謙信が1582年に死去した後、上杉家は派閥争いを経て上杉景勝が当主となり、再び織田氏と敵対します。信長は北陸地方の支配を目指し、天正9年には荒川の合戦で勝利を収め、織田方の基盤を固めていきました。

その後、同年2月に甲斐武田氏が滅亡し、織田軍は魚津城を包囲しますが、上杉軍も地域の指揮官と連携し、即座に反撃を開始します。信長は北陸地方制圧を急ぎつつも、背後に迫る敵にも目を光らせざるを得ませんでした。

合戦の流れ

魚津城周辺では、上杉軍が包囲される中、部将の中条景泰が景勝に救援を要請します。しかし、織田軍が周辺を確保しているため、景勝は即座には動けませんでした。応援に派遣された部隊は有能な将軍たちであり、景勝自身も自ら兵を率いて春日山城から出発します。彼は5月19日には魚津城東側に陣を構えました。

織田軍は攻勢を強め、5月6日までに二の丸を手に入れましたが、景勝の進軍によって織田軍は攻撃を躊躇する状況に陥ります。その後、両軍は長い攻防戦を繰り広げました。上杉軍は数ヶ月間持ち堪えましたが、6月3日には城が落城し、上杉勢の13人の将は自ら命を絶つ決断を下します。

衝撃の後史

魚津城が落城した日に、織田信長が本能寺の変に遭遇し、命を落とすという運命的な出来事が発生します。信長の死により、織田軍は動揺し、魚津城も再び上杉勢に奪還されます。以降、上杉は地域の再侵攻を試みますが、清洲会議で越中を安堵された佐々成政から再び攻められ、最終的には退転を余儀なくされます。

魚津在城の守将たち

魚津城の防衛には、上杉謙信の側近たちを含む13人の守将が従事していました。彼らはその時代の重要な役割を果たし、その決断が上杉軍の運命を決定づけることになります。

逸話と大砲の使用

この戦いにおいて、特筆すべきは上杉軍の将たちが自らの名字を書いた木札を結び、自決するという特異な慣行を行ったことです。また、織田軍が大砲を使用していたことも確認され、北陸地方における大砲の使用としては初の例とされていますが、この大砲は不良品であり、実際には役立たなかったことも知られています。

まとめ

魚津城の戦いは、単に軍事的な衝突を超え、時代の変わり目を象徴する大事件として記憶されています。織田信長と上杉景勝の激突は、戦国時代の光と影を映し出すエピソードとして、今なお語り継がれています。

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