魚津城

魚津城

魚津城は、富山県魚津市にあった日本の城（平城）です。別名として小津城、または小戸城とも呼ばれています。松倉城の支城の一つであり、天正10年（1582年）6月の本能寺の変直前の魚津城の戦いの際、柴田勝家率いる織田軍が攻囲した城として有名です。現在は魚津市の指定史跡となっており、とやま城郭カードNo.4にも選ばれています。

歴史

伝承によれば、建武2年（1335年）に椎名孫八入道によって築城されたとされています。城は鴨川（神明川）、角川、富山湾、友道の沼に囲まれた場所に位置し、本城は二重の堀と石垣によって守られ、天守閣も備えられていたと伝えられています。

戦国時代に入り、椎名康胤が上杉氏から離反すると、上杉軍が椎名氏を追討し、魚津城は上杉氏の手に落ちました。以後、上杉氏の越中支配における重要な拠点となり、河田長親が長く城代を務めました。天正10年（1582年）の魚津城の戦いでは、織田軍と上杉軍が激しい攻防戦を繰り広げました。しかし、その直後の6月6日に本能寺の変の知らせが届き、織田軍は撤退し、すぐに上杉軍が城を奪回しました。

その後、天正11年（1583年）3月に態勢を立て直した佐々成政によって再び攻められ、城将の須田満親は開城し、信濃の海津城へと移りました。佐々成政自身も、富山の役で前田・上杉軍に挟撃された上、秀吉の大軍の前に降伏し、天正15年（1587年）に肥後へ移封されましたが、一揆が発生し没落しました。

文禄4年（1595年）には、前田利長に新川郡が加増され、上杉家の越中衆（土肥氏・柿崎氏・舟見氏など）から郡内の諸城を受け取りました。これにより、長尾能景以来の上杉氏による越中支配は終わりを迎えました。前田氏の治下では、青山吉次などが城代を務めたほか、富山城焼失後の慶長14年（1609年）3月22日から高岡城に移る同年9月13日まで、前田利長が拠点としていましたが、元和の一国一城令により廃城になったと考えられています。廃城後は加賀藩の御蔵「古城御蔵屋敷」として使用されました（1785年発行の魚津町惣絵図にも記載されています）。

現在、本丸跡地は大町小学校跡（2018年4月に魚津市立よつば小学校に統合）、二の丸跡は魚津簡易裁判所などの敷地となっており、遺構はほとんど残っていません。

遺構・復元建造物

明治初期には、堀や土塁などが残っていましたが、破却されました。

旧大町小学校（魚津城本丸）：校門には直江氏の兜前立て「愛」と「魚津城址」の字旗があります。グラウンドの築山は魚津城の櫓台だった可能性があります。
「史跡 魚津城跡」石碑：隣には「常盤の松」があります。周囲には富山城から運ばれたとされる矢穴石が配置されています。
松倉城塁群立体模型：本城の松倉城を含む城塁群が水平に設置された立体図（山・海など）に配置されています。
「上杉謙信の歌碑」：「武士（もののふ）の鎧の袖を　かたしきて枕に近き　初雁の声」の歌碑があります。
模擬石垣と「魚津城の戦い」幟：「越中魚津町惣絵図」などに描かれた本丸の縄張りを参考にした石垣で、当時の遺構ではありません。

近隣施設・関連資料など

「魚津城の戦い」案内板：紙芝居のような木枠に描かれた絵。上杉景勝の肖像や「魚津在城衆十二名連署状」の写真が載っています。
「大町校区に残る旧跡・史跡」：「江戸時代の大町の絵図」が現在の市街地地図とともに掲載されています。
魚津城復元模型：魚津歴史民俗博物館に展示されています。

支城

魚津城や松倉城周辺には数多くの城跡があります。現在の魚津市内だけでも、坪野城、北山城(金山城・金山谷城)、升方城、天神山城(萩城)、小菅沼城、水尾城、水尾南城、石の門などがあります。

交通

富山地方鉄道本線・電鉄魚津駅から徒歩5分
魚津市民バス・市街地巡回ルート「県総合庁舎前」
北陸自動車道・魚津ICから10分

脚注

関連項目

魚津歴史民俗博物館 – 魚津城、魚津城の戦いの紹介
吉江宗信

外部リンク

魚津城の戦い - 魚津市
魚津城跡 - 魚津市観光協会
魚津城跡 - NHKアーカイブス

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