鯛中新

鯛中新（たいなか しん）は、1911年11月30日に生まれ、1992年8月20日に没した日本の囲碁棋士です。兵庫県神戸市出身。久保松勝喜代名誉九段門下。日本棋院、のちに関西棋院に所属し、九段に昇りました。その棋風はじっくりと腰を据えて着実に局面を打開していくスタイルで、多くのファンを魅了しました。

生涯

旧制神戸一中を卒業後、1927年に久保松勝喜代に入門し、囲碁の道へ。1929年に初段となり、棋士としてのキャリアをスタートさせました。その後、順調に昇段を重ね、1942年に五段、1946年には六段に。1950年に関西棋院が設立されると、橋本宇太郎八段に次ぐ実力者として迎えられ、関西棋院の重鎮として活躍しました。同年には、日本棋院との東西対抗戦に出場し、杉内雅男に勝利。続く勝ち抜き戦では副将を務めましたが、梶原武雄に敗れました。

1951年には七段に昇段。同年、第7期本因坊戦リーグ入りを果たし、4勝2敗の成績を収めました。5人による同率決戦に進出しましたが、1回戦で高川格に敗れ、挑戦権獲得はなりませんでした。1955年には、第一期関西棋院選手権戦で優勝。同年、呉清源対関西棋院精鋭戦にも出場しました。1957年と1958年には、関西棋院早碁名人戦で2連覇を達成。日本棋院早碁名人戦優勝者との電報碁では、宮下秀洋、杉内雅男に敗れています。1960年に八段、1965年には九段に昇段しました。

囲碁の腕前だけでなく、俳句にも造詣が深く、『囲碁新潮』誌で俳句の選者を務めるなど、文化人としての側面も持ち合わせていました。1960年頃からは、自宅裏の一王山に、対局日以外は同好の士とともに毎日登山していたといいます。1977年に脳血栓で倒れ、病床に伏しましたが、1983年には勲四等旭日小綬章を受章しました。門下には、本田満彦、家田隆二、紙谷哲雄、柏原康人などがいます。

主な棋歴

関西棋院選手権戦 優勝（1955年）
関西棋院早碁名人戦 優勝（1957年、1958年）
関西棋院第一位決定戦 準優勝（1960年、1968年）

参考文献

坂田栄男『囲碁百年 3 実力主義の時代』平凡社、1969年
『現代囲碁大系16巻 鯛中新 鈴木越雄 窪内秀知 宮本直毅 本田邦久』講談社、1982年
『棋道』1992年11月号、日本棋院
* 『囲碁年鑑』日本棋院

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