鳥 (1963年の映画)

映画『鳥』について

『鳥』（とり、The Birds）は、1963年に公開されたアメリカの映画で、監督はアルフレッド・ヒッチコック、原作はダフニ・デュ・モーリエの短編小説です。この作品は、突如として凶暴になる鳥たちに人々が襲われる様を描いた生物パニック映画として、多くの映画ファンに愛されています。

ストーリーの概要

物語は、若きソーシャライトであるメラニー・ダニエルズ（ティッピ・ヘドレン）が、サンフランシスコのペットショップで弁護士のミッチ・ブレナー（ロッド・テイラー）と出会うことから始まります。ミッチは妹の誕生日祝いにラブバードを探しており、メラニーは彼に興味を持ち、ラブバードを購入し、ボデガ・ベイまで届けることにします。しかし、道中に襲われたカモメにより、彼女の平和な日々は一変します。

ミッチの家での夕食の際、妹のキャシー（ヴェロニカ・カートライト）とともに楽しい時間を過ごしますが、ミッチの母親リディア（ジェシカ・タンディ）は、自分の息子がメラニーと親しくなることを忌避します。メラニーは、ミッチの元恋人である小学校教師アニー・ヘイワース（スザンヌ・プレシェット）の家に泊まり込むことになります。すぐに、ボデガ・ベイではカモメの攻撃が始まります。子供たちの誕生日パーティーでは、子供たちが大群のカモメに襲われ、被害者が出るという混乱が広がります。

その後、ボデガ・ベイの小学校でアニーが鴉に襲われて命を落とすなど、事態は急速に悪化していきます。メラニーとミッチの家族は、窓やドアを防ぎ、必死に鳥の攻撃から身を守りますが、状況はますます悪化します。最終的に鳥の大群が家に押し寄せ、精神的な危機に追い込まれたメラニーは、何とか救出されるものの、心の平穏はもはや保たれていません。

制作の背景

『鳥』は、1961年のカリフォルニアで実際に起こった奇怪な鳥の行動からインスパイアを受けています。ヒッチコックは、脚本家のエヴァン・ハンターに依頼し、物語を練り上げていきました。この時、町の人々が秘密を共有し、生態系そのものによって報復を受けるというテーマが発展しました。ヒッチコックの独特な演出が、恐怖とサスペンスを絶妙に融合させたことが、この映画の特長となっています。

特に注目すべきは、映画全篇に音楽が使用されていない点です。ヒッチコックは、効果音や静寂の中で鳥の鳴き声など、音の演出に重点を置きました。このアプローチは、映画の緊張感を高める効果を生み出し、多くの視聴者に強烈な印象を与えました。

評価と影響

『鳥』は、公開当初の興行成績が非常に良好で、北アメリカのレンタルビデオ市場でも成功を収めました。批評家や観客からも高い評価を受け、特にその全体的な演出や特撮技術が賞賛されました。また、アメリカン・フィルム・インスティチュートが選ぶ『スリルを感じる映画ベスト100』で7位、最も怖い映画シーン100では鳥の攻撃シーンが取り上げられるなど、後世の映画に多大な影響を与えました。

ヒッチコック作品の中でも象徴的な位置を占めており、後の動物パニック映画の先駆けとなった本作は、現代においても語り継がれる名作の一つです。生態系や自然の持つ不可思議な力をテーマにしているため、現代の観 audiencesにとっても訴えるものが多くあり、今後も映画史において重要な位置を占め続けることでしょう。

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