鳥居前古墳

鳥居前古墳の概要

鳥居前古墳（とりいまえこふん）は、京都府乙訓郡大山崎町に位置する古墳で、帆立貝の形をした独特の構造を持っています。この古墳は、国の史跡に認定されており、乙訓古墳群の一部として重要な歴史的な価値を持っています。また、出土品のいくつかは京都府の指定有形文化財に指定されています。1967年に教育委員会による調査でその存在が確認され、以降、何度か発掘調査が行われました。

地理的・歴史的背景

古墳は天王山の北側の麓にあり、標高97メートルの丘陵に位置しています。1967年の調査によってその位置が明らかになり、1969年には後円部の竪穴式石室が発見され、墳丘の一部も調査されました。当初、古墳は全長70メートルの前方後円墳と考えられていましたが、後の調査によりその形は帆立貝形に修正されています。

埋葬の様子

鳥居前古墳には、1基の竪穴式石室があり、墳丘の主軸に対して斜めに配置されています。石室のサイズは9.0メートル×4.4メートルで、内部には長さ5.3メートルの割竹形木棺が存在すると考えられています。木棺の中には、勾玉や管玉、刀剣など豊富な副葬品が出土しており、当時の埋葬風習や社会的地位を物語る貴重な証拠となっています。特に短剣や短刀は、木製部分が非常によく保存されていることが特徴です。また、石室内からは鉄製の武器や工具も多く見つかっており、当時の技術や文化の一端を理解する手掛かりが得られています。

墳丘の構造

墳丘はかつて竹林に覆われており、当初の形状は著しく変化していたと考えられています。増補された調査によると、墳丘はおおよそ51メートルの長さを持つ帆立貝形で、後円部の直径は38.4メートル、前方部の長さは12.5メートル、幅は30メートル程度と推測されています。墳丘の表面には葺石があったことが示されているものの、多くは失われてしまっています。また、墳丘の周囲には円筒埴輪の列が確認されており、これは当時の埋葬や記憶を象徴するものとして重要です。

建設時期と文化的意義

この古墳の築造時期は、約400年ごろと推定されています。鳥居前古墳はその独特な形状や数々の出土品から、権力者やその家族の墓と考えられています。さらに、この古墳群の整備と調査が進むことで、当時の社会構造や文化的背景が明らかになりつつあります。2016年には、鳥居前古墳を含む古墳8基が新たに国の史跡として指定され、さらなる研究が期待されています。

結論

鳥居前古墳は、単なる埋葬地に留まらず、当時の人々の信仰や文化、社会構造を探る貴重なフィールドとなっています。今後の発掘調査が、さらなる歴史の解明に貢献することが望まれます。

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