鳥居忱

鳥居 忱 (とりい まこと) の生涯と業績

概要

鳥居忱は1853年に生まれ、1917年に亡くなった日本の作詞家、国文学者である。本名は忠一（ただかず）で、初めは尾巻（おまき）という名前でも知られていた。彼は特に「箱根八里」の作詞者として有名で、日本の音楽教育にも多大なる貢献を果たした人物として歴史に名を刻んでいる。

幼少期と学業

鳥居は江戸の大名小路、現在の東京都千代田区丸の内で生まれた。彼の父は壬生藩の江戸家老であり、家庭環境は教育に恵まれていた。1870年には大学南校に入学し、そこから教育の道を歩み始める。1874年には東京外国語学校に転入し、五年間学んだ。

音楽の道

彼の音楽の教育は、1880年にルーサー・ホワイティング・メーソンに師事したことでさらに進展する。このとき、音楽取調掛（現在の東京藝術大学音楽学部）に在籍し、バイオリンや音楽理論について学び、1882年には同機関にて雇用されることとなる。

その後、第一高等中学校に雇われ、さらには東京音楽学校（現在の東京芸術大学音楽学部）において教授嘱託として教鞭をとり、1891年には正式に教授として任命された。長年の教育活動を通じて、多くの生徒に音楽の素晴らしさを伝え続けたが、1913年には病気のため退官した。

働きと業績

歌詞作りにおいて、鳥居忱は数多くの作品を残している。その中でも特に知られているのが、瀧廉太郎によって作曲された「箱根八里」である。この曲は、風景や自然の美しさを描写したもので、彼の詩の情景描写の能力が光っている。

他にも、「唱歌長岡少尉」（作曲：永井建子）や「旅順閉塞」（作曲：今井慶松）など、多くの唱歌を作詞しており、特に1916年に作られた岡崎市歌などは地域の文化に根ざした作品である。このように、彼の作品は日本の音楽シーンに大きな影響を与えた。

また、彼の著書も数多く、音楽理論や和歌についての研究書などがある。「音楽道のしるべ」や「音楽理論」、「竹取物語析義」、「方丈記析義」など、日本の音楽と文学の豊かさを深く掘り下げた作品群として知られている。

最期の時

鳥居忱は1917年5月15日に65歳で亡くなった。彼の死は、多くの音楽教育者や歌手にとって、大きな喪失であった。彼の残した業績や歌詞は今でも日本の音楽教育や文化において重要な位置を占めている。彼の影響を受けた世代は、今日の音楽界の基盤を築くことに寄与している。鳥居忱の生涯は、音楽に対する情熱と教育への献身がいかに重要であったかを示す例である。

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