鳥屋ミサンザイ古墳

鳥屋ミサンザイ古墳は、奈良県橿原市鳥屋町に位置する前方後円墳です。この古墳は、奈良盆地の南端、貝吹山の北麓に広がる尾根の先端を切り開いて築かれました。「ミサンザイ」という名称は「陵（みささぎ）」が転訛したものではないかと考えられています。

現在は宮内庁によって第28代宣化天皇と皇后である橘仲皇女の合葬陵「身狭桃花鳥坂上陵（むさのつきさかのえのみささぎ）」として管理されています。そのため、一般の立ち入りは制限されていますが、過去には整備工事に先立ち、宮内庁による調査が実施されています。

墳丘と外構

墳丘は前方後円形で、前方部が北北東を向いています。二段に築成された墳丘のくびれ部分には造り出しが設けられ、前方部の東側には張り出し状の施設が存在します。墳丘の表面は葺石で覆われ、円筒埴輪や朝顔形埴輪が並べられていました。墳丘の周囲には盾の形をした周濠が巡らされていますが、後世に行われた鳥屋池の工事によって大きく改変を受けています。

埋葬施設や副葬品については、現在まで詳しいことは分かっていません。

築造時期と被葬者

鳥屋ミサンザイ古墳は、古墳時代後期の6世紀前半頃、または中期後半の5世紀後半頃に築造されたと推定されています。当時としては大和地方で最大級の規模を誇る古墳です。

実際の被葬者は特定されていませんが、宮内庁では宣化天皇と橘仲皇女の合葬陵としています。宣化天皇は『日本書紀』によると、539年に崩御し、同年11月に「大倭国身狭桃花鳥坂上陵」に葬られたとされ、皇后とその子も合葬されたと伝えられています。

歴史

寛永年間（1624-1644年）：灌漑用のため池である鳥屋池の工事に伴い、周濠が改変されました。
元禄12年（1699年）：元禄の探陵の際、宣化天皇陵に治定されました。
1971年度（昭和45年度）：整備工事に伴う事前調査が宮内庁書陵部によって実施されました。
1988年度（昭和63年度）：整備工事に伴う事前調査が宮内庁書陵部によって実施されました。

墳丘規模

墳丘長：138メートル
後円部径：72メートル
前方部幅：84メートル

周辺の古墳

鳥屋ミサンザイ古墳の南方には、桝山古墳（倭彦命 身狭桃花鳥坂墓）があり、西方には新沢千塚古墳群が広がっています。これらの古墳との関連性も指摘されています。

関連情報

宣化天皇：第28代天皇。
身狹桃花鳥坂上陵：宮内庁が管理する宣化天皇陵。
橿原市：古墳が所在する自治体。

鳥屋ミサンザイ古墳は、その規模の大きさや周辺の古墳との関連性から、当時の政治・文化を知る上で重要な古墳の一つと言えるでしょう。

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