鳥羽離宮

鳥羽離宮（とばりきゅう）：王朝の栄華を偲ぶ地

鳥羽離宮は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて、白河上皇、鳥羽上皇らによって造営・使用された広大な離宮です。京都市南区から伏見区にかけての鴨川と桂川が合流する地点に位置し、その広さは東西約1.7km、南北約1.1kmに及ぶと推定されています。

平安京の外港、風光明媚な地

鳥羽は、平安京の南約3kmに位置し、交通の要衝でした。平安京造営時には朱雀大路が延長され、鳥羽は平安京の外港としての機能も担っていました。また、貴族たちが狩猟や遊興を楽しむ風光明媚な地としても知られ、多くの貴族が別邸を構え、都市として発展しました。

白河上皇による造営と拡大

鳥羽離宮の始まりは、11世紀に藤原季綱が所有していた鳥羽の別邸を白河上皇に献上したことでした。白河上皇は、この別邸を大規模に拡張し、南殿を建設しました。その後、東殿や安楽寿院なども造営され、鳥羽離宮は広大な複合施設へと発展を遂げました。

上皇の私的空間から政治の舞台へ

当初、鳥羽離宮は上皇の私的な空間としての意味合いが強く、政治的な決定は京都市内の院御所で行われることがほとんどでした。しかし、鳥羽法皇の晩年には、鳥羽離宮で政治的な会議が開かれることもありました。

南北朝の戦火と荒廃

南北朝時代に入ると、鳥羽離宮は戦火に見舞われ、多くの建物が焼失しました。その後、急速に荒廃が進み、かつての栄華は失われていきました。

構成と御堂

鳥羽離宮は、南殿、泉殿、北殿、馬場殿、東殿、田中殿などの御所から構成されていました。それぞれの御所には、御堂が付属しており、信仰の場としての役割も担っていました。

南殿 - 証金剛院（白河上皇の発願）
泉殿 - 成菩提院（鳥羽上皇の発願）
北殿 - 勝光明院（鳥羽上皇）、鳥羽宝蔵
東殿 - 安楽寿院（鳥羽上皇）
田中殿 - 金剛心院（鳥羽上皇）

現在に残る遺構

現在、鳥羽離宮の全容を把握することは困難ですが、一部の遺構が残されており、その歴史を偲ぶことができます。

白河天皇陵: 白河天皇陵の周辺部からは、幅約6メートルの大溝が確認されています。
* 秋ノ山: 鳥羽離宮跡公園内に、当時の築山が残されています。

文化財

安楽寿院の木造阿弥陀如来坐像などが国の重要文化財に指定されています。また、発掘調査で発見された出土品が京都市指定有形文化財に指定されています。

鳥羽離宮は、王朝の栄華を今に伝える貴重な遺産です。その歴史に触れ、当時の文化や人々の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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