鳩彦王妃允子内親王

富美宮允子内親王：華麗なる生涯と悲劇的な最期

富美宮允子内親王は、明治天皇の第八皇女として1891年8月7日に誕生しました。母は園祥子です。允子内親王は、幼少期から皇室の教育を受け、優れた教養と品格を備えていました。1910年、朝香宮鳩彦王との結婚が許され、5月6日に結婚の運びとなりました。この結婚は、皇室と宮家の繋がりを強める上で重要な役割を果たしました。

允子内親王と鳩彦王の間には、2男2女が誕生しました。長女の紀久子女王は鍋島直泰侯爵夫人となり、次女の湛子女王は大給義龍伯爵夫人となりました。長男の孚彦王は1947年に臣籍降下し、次男の正彦王は1936年に臣籍降下し、音羽侯爵となりましたが、1944年には戦死しました。

1923年、夫である鳩彦王がパリで自動車事故に遭うという不幸な出来事が起こります。この事故で、鳩彦王の義兄にあたる北白川宮成久王が亡くなり、鳩彦王自身も重傷を負いました。さらに、鳩彦王の姉にあたる房子内親王も重傷を負いました。この事故は、允子内親王に大きな衝撃を与えました。

允子内親王は、夫の看病のため、2年間パリに滞在しました。この滞在期間中、允子内親王は、当時流行していたアール・デコ様式に深く触れる機会を得ました。アール・デコ様式は、幾何学的なデザインと洗練された美しさが特徴で、允子内親王の感性を刺激しました。

日本に帰国後、允子内親王は、パリで培ったアール・デコ様式への造詣を活かし、新しい宮邸の建設に尽力しました。その結果、洗練された美しさを持つ宮邸が完成し、允子内親王のセンスが遺憾なく発揮されました。この宮邸は、現在もその美しさを保ち、多くの人々を魅了しています。

しかし、允子内親王の生涯は、不幸な出来事によって幕を閉じました。1933年10月中旬頃から、允子内親王は倦怠感や食欲不振に悩まされるようになり、10月21日には慢性腎臓炎と診断されました。その後、一時的に快方に向かったものの、10月30日から再び容体が悪化し、心臓衰弱と気管支炎を併発しました。そして、11月3日午前1時15分、朝香宮邸にて、30代という若さで亡くなりました。

允子内親王の死は、皇室に大きな悲しみをもたらしました。宮中では、允子内親王の喪に服し、翌年の歌会始も中止されました。允子内親王の死は、多くの人々にとって大きな損失であり、その早すぎる死は、人々の心に深い悲しみを残しました。允子内親王の生涯は、華麗さと悲劇が交錯する、波乱に満ちたものでした。

允子内親王は、皇族としてだけでなく、洗練された美意識を持つ女性としても、人々の記憶に深く刻まれています。彼女の生き様は、現在も多くの人の心を捉え続けています。

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