鴨桃代
鴨桃代（かも ももよ）は、1948年に生まれた日本の労働運動および政治活動における重要な人物です。特に、非正規雇用者の権利擁護とその組織化に長年取り組み、全国コミュニティ・ユニオン連合会（全国ユニオン）の初代会長として知られています。
静岡県清水市（現在の静岡市清水区）で育った鴨氏は、地元の小中学校、高校を卒業後、千葉県にある淑徳大学社会福祉学部に進学しました。大学時代には、当時の学生運動である全共闘運動にも参加しています。1972年に大学を卒業後、千葉県の職員として保育士（当時は保母）の職に就きました。その後、学生運動を通じて知り合った中央大学出身の鴨哲登志氏と結婚しました。
二人の息子が難病を患い、長男を失ったこと、そして育児との両立が困難になった経験から、鴨氏は公務員を退職することを決意しました。退職後は、日本社会党員であり、社会主義青年同盟の活動家でもあった夫、哲登志氏の政治活動を支える立場となりました。哲登志氏は1987年に習志野市議会議員に当選し、以来5期にわたり20年間、市政に携わりました。
鴨氏自身が労働運動の現場に深く関わるようになったのは、1988年のことです。千葉県内の社会党市議が進めていた無料法律相談をきっかけに、労働組合が存在しない職場や、正規雇用者以外は加入できない既存の組合から排除されている非正規雇用者（パート、派遣、契約社員など）でも個人として加入できる新たな労働組合、なのはなユニオンが結成されました。鴨氏はこのなのはなユニオンの初代書記長に就任し、同年9月には委員長となりました。以後、同組合の委員長として活動を続け、非正規雇用労働者の労働相談に応じ、彼らの権利を守り、組織化を進めることに尽力しました。
この活動は全国的な広がりを見せ、1999年には同種の個人加盟組合の連絡組織であるコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの共同代表を務めました。さらに、2002年11月3日には、全国のコミュニティ・ユニオンを束ねる全国ユニオンが結成され、鴨氏はその初代会長に就任しました。全国ユニオンは日本のナショナルセンターである日本労働組合総連合会（連合）への加盟を目指し、2003年6月26日に正式に承認されました。2004年12月には、非正規雇用フォーラムの共同代表にも就任し、非正規雇用を巡る社会的な問題提起と解決に向けた活動を強化しました。
鴨氏の活動が特に注目を集めたのは、2005年10月6日に行われた連合会長選挙への出馬でした。当時、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟（UIゼンセン同盟）会長の高木剛氏の無投票当選が有力視されていましたが、鴨氏が出馬を表明。当初は高木氏の圧勝が予想されていましたが、結果は高木氏が323票、鴨氏が107票（総投票数472票中）となり、連合加盟から間もない、組合員数もはるかに少ない全国ユニオン代表である鴨氏が獲得した107票は、労働界に大きな反響を呼び、鴨氏と全国ユニオンの認知度を高めることにつながりました。
政治活動としては、2007年4月の習志野市長選挙で夫である哲登志氏への支持を訴えましたが、夫は落選しました。また、2008年末から2009年初にかけて、いわゆる「派遣切り」により住まいや職を失った非正規労働者を支援するために企画された「年越し派遣村」では、全国ユニオンがその実行委員会に参加し、鴨氏自身も炊き出しや生活相談などの救援活動に携わりました。
2013年5月には、同年7月に実施される第23回参議院議員通常選挙において、社会党の後継政党である社会民主党（社民党）からの立候補を表明し、比例区での公認候補となりました。これに伴い、全国ユニオンの委員長職を辞任しました。選挙の結果、鴨氏は当選には至りませんでした。
鴨氏の活動における主な主張は、全国ユニオンやなのはなユニオンが掲げるものと共通しています。非正規雇用労働者の権利保護と拡大、そして連合を中心とした労働運動の活性化を強く訴えてきました。特に、偽装請負や偽装出向といった脱法的な働き方に対する告発と根絶、グッドウィルやフルキャストなどの人材派遣企業で働く労働者の権利確保に力を入れてきました。連合会長選挙出馬時の声明では、当時の第4代会長である笹森清氏が提唱した「社会的労働運動」などの「ニュー連合路線」を支持し、新自由主義に基づく労働規制緩和政策を進める当時の自民党小泉内閣との対決姿勢、そして日本国憲法、特に平和主義を定めた第9条の擁護を主張しました。
新自由主義への反対は、ホワイトカラーエグゼンプション導入への反対運動にもつながりました。第1次安倍内閣に対しても批判的な立場を取り、2012年に自民党が再び政権に就いた後の第2次安倍内閣が推進する労働法改正、特に「限定正社員」制度による解雇規制の緩和には強く反対しました。また、政府がホワイトカラーエグゼンプションの復活をも画策していると指摘しています。自身の育児や看護との両立に苦しんだ経験から、性別分業にとらわれない働きやすい環境の整備や、長時間労働、転勤を伴う広域移動といった「男性基準の働き方」からの転換による、仕事と生活の調和（ワークライフバランス）の実現も訴えています。さらに、全国ユニオンが要求する最低賃金の全国一律時給1200円への引き上げを求めています。その他、社民党の立場と一致する原子力発電への反対、憲法改正阻止、そして貧困問題の解決も重要な主張として掲げています。
政治的なスタンスとしては、一貫して日本社会党およびその流れを汲む社会民主党を支持しており、各地の選挙では様々な候補者の推薦人に名を連ねています。2013年の自身の参議院選挙立候補時には、社民党党首の福島瑞穂氏をはじめ、これまで支援してきた保坂展人氏（世田谷区長）や宇都宮健児氏（弁護士）の他、年越し派遣村村長を務めた社会運動家の湯浅誠氏、作家の雨宮処凛氏、労働問題に詳しい和光大学教授の竹信三恵子氏、そして全国ユニオンの構成団体のメンバーなどが推薦人に名を連ね、その活動を後押ししました。
静岡県清水市（現在の静岡市清水区）で育った鴨氏は、地元の小中学校、高校を卒業後、千葉県にある淑徳大学社会福祉学部に進学しました。大学時代には、当時の学生運動である全共闘運動にも参加しています。1972年に大学を卒業後、千葉県の職員として保育士（当時は保母）の職に就きました。その後、学生運動を通じて知り合った中央大学出身の鴨哲登志氏と結婚しました。
二人の息子が難病を患い、長男を失ったこと、そして育児との両立が困難になった経験から、鴨氏は公務員を退職することを決意しました。退職後は、日本社会党員であり、社会主義青年同盟の活動家でもあった夫、哲登志氏の政治活動を支える立場となりました。哲登志氏は1987年に習志野市議会議員に当選し、以来5期にわたり20年間、市政に携わりました。
鴨氏自身が労働運動の現場に深く関わるようになったのは、1988年のことです。千葉県内の社会党市議が進めていた無料法律相談をきっかけに、労働組合が存在しない職場や、正規雇用者以外は加入できない既存の組合から排除されている非正規雇用者（パート、派遣、契約社員など）でも個人として加入できる新たな労働組合、なのはなユニオンが結成されました。鴨氏はこのなのはなユニオンの初代書記長に就任し、同年9月には委員長となりました。以後、同組合の委員長として活動を続け、非正規雇用労働者の労働相談に応じ、彼らの権利を守り、組織化を進めることに尽力しました。
この活動は全国的な広がりを見せ、1999年には同種の個人加盟組合の連絡組織であるコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの共同代表を務めました。さらに、2002年11月3日には、全国のコミュニティ・ユニオンを束ねる全国ユニオンが結成され、鴨氏はその初代会長に就任しました。全国ユニオンは日本のナショナルセンターである日本労働組合総連合会（連合）への加盟を目指し、2003年6月26日に正式に承認されました。2004年12月には、非正規雇用フォーラムの共同代表にも就任し、非正規雇用を巡る社会的な問題提起と解決に向けた活動を強化しました。
鴨氏の活動が特に注目を集めたのは、2005年10月6日に行われた連合会長選挙への出馬でした。当時、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟（UIゼンセン同盟）会長の高木剛氏の無投票当選が有力視されていましたが、鴨氏が出馬を表明。当初は高木氏の圧勝が予想されていましたが、結果は高木氏が323票、鴨氏が107票（総投票数472票中）となり、連合加盟から間もない、組合員数もはるかに少ない全国ユニオン代表である鴨氏が獲得した107票は、労働界に大きな反響を呼び、鴨氏と全国ユニオンの認知度を高めることにつながりました。
政治活動としては、2007年4月の習志野市長選挙で夫である哲登志氏への支持を訴えましたが、夫は落選しました。また、2008年末から2009年初にかけて、いわゆる「派遣切り」により住まいや職を失った非正規労働者を支援するために企画された「年越し派遣村」では、全国ユニオンがその実行委員会に参加し、鴨氏自身も炊き出しや生活相談などの救援活動に携わりました。
2013年5月には、同年7月に実施される第23回参議院議員通常選挙において、社会党の後継政党である社会民主党（社民党）からの立候補を表明し、比例区での公認候補となりました。これに伴い、全国ユニオンの委員長職を辞任しました。選挙の結果、鴨氏は当選には至りませんでした。
鴨氏の活動における主な主張は、全国ユニオンやなのはなユニオンが掲げるものと共通しています。非正規雇用労働者の権利保護と拡大、そして連合を中心とした労働運動の活性化を強く訴えてきました。特に、偽装請負や偽装出向といった脱法的な働き方に対する告発と根絶、グッドウィルやフルキャストなどの人材派遣企業で働く労働者の権利確保に力を入れてきました。連合会長選挙出馬時の声明では、当時の第4代会長である笹森清氏が提唱した「社会的労働運動」などの「ニュー連合路線」を支持し、新自由主義に基づく労働規制緩和政策を進める当時の自民党小泉内閣との対決姿勢、そして日本国憲法、特に平和主義を定めた第9条の擁護を主張しました。
新自由主義への反対は、ホワイトカラーエグゼンプション導入への反対運動にもつながりました。第1次安倍内閣に対しても批判的な立場を取り、2012年に自民党が再び政権に就いた後の第2次安倍内閣が推進する労働法改正、特に「限定正社員」制度による解雇規制の緩和には強く反対しました。また、政府がホワイトカラーエグゼンプションの復活をも画策していると指摘しています。自身の育児や看護との両立に苦しんだ経験から、性別分業にとらわれない働きやすい環境の整備や、長時間労働、転勤を伴う広域移動といった「男性基準の働き方」からの転換による、仕事と生活の調和（ワークライフバランス）の実現も訴えています。さらに、全国ユニオンが要求する最低賃金の全国一律時給1200円への引き上げを求めています。その他、社民党の立場と一致する原子力発電への反対、憲法改正阻止、そして貧困問題の解決も重要な主張として掲げています。
政治的なスタンスとしては、一貫して日本社会党およびその流れを汲む社会民主党を支持しており、各地の選挙では様々な候補者の推薦人に名を連ねています。2013年の自身の参議院選挙立候補時には、社民党党首の福島瑞穂氏をはじめ、これまで支援してきた保坂展人氏（世田谷区長）や宇都宮健児氏（弁護士）の他、年越し派遣村村長を務めた社会運動家の湯浅誠氏、作家の雨宮処凛氏、労働問題に詳しい和光大学教授の竹信三恵子氏、そして全国ユニオンの構成団体のメンバーなどが推薦人に名を連ね、その活動を後押ししました。
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