鵜殿港

鵜殿港（うどのこう）概要

鵜殿港は三重県南牟婁郡紀宝町に位置する地方港湾で、その管理は三重県が行っています。この港は、港湾調査規則に基づいて甲種港湾に分類されています。

この港は紀伊半島の東側、熊野川の河口部の左岸にあり、熊野灘に面しています。さらに、左岸からは和歌山県新宮市が見えるため、三重県の最南端に位置する港となっています。鵜殿港は、かつて熊野川に面した河口港として栄えていましたが、度重なる水害に見舞われたことから、1970年代には港口部を海側に移動させる改修が行われました。

歴史

鵜殿港の歴史は、古代にさかのぼります。特に熊野水軍の本拠地として知られ、江戸時代の文化年間には約1.2kmの長さの石堤が築かれるなど、活気にあふれていました。しかし、1874年には河口と港の修築工事が実施されましたが、1889年の十津川大水害によって全ての施設が流出し、大打撃を受けました。この事件の後、水面貯木場が整備され、木材の積み出し港として再び発展を遂げることとなりました。

1903年には運河の開削が行われ、1942年から1953年にかけて導流堤が新設されました。しかし、昭和28年の台風第13号や1959年の伊勢湾台風でも大規模な被災が相次ぎ、港の機能は大きく低下しました。

そこで、1971年には大規模な改修事業が始まり、北側の流路が直線化され、港口部が海側に変更されました。この改修に伴い、1977年には造成地が紀州製紙に譲渡され、これが現在の北越コーポレーション紀州工場の用地となっています。1980年2月には新しい荷役設備が完成し、以来、製紙工場の原料となる木材チップや重油、化学薬品の移入、さらには製品としての紙やパルプの移出が主な取扱貨物となっています。

航路と港湾施設

鵜殿港には定期的な航路は存在しませんが、港湾区域は詳細に定義されています。具体的には、熊野大橋右岸から引かれた線を中心にした海面が港湾区域として指定されており、北越紀州製紙紀州工場が立地する地域や、小型船の接岸が可能な平島地区などが含まれます。

交通面では、紀勢本線鵜殿駅が隣接しており、製紙工場には専用線が接続しています。かつては貨物列車が頻繁に運行されていましたが、現在では船舶による輸送にシフトしており、貨物列車の運行は終了し、その後は撤去されています。

港湾の施設

• - 5.5m岸壁（長さ：450.0m）
• - 2.0m物揚場（長さ：200.0m）
• - 3.0m物揚場（長さ：205.0m）

2015年度の発着数は1,294隻、総トン数は270,489トンに達し、その中には外国商船も含まれています。

このように、鵜殿港は歴史的背景や戦略的な立地を持ちながら、さまざまな産業活動の中心として機能してきました。今後の発展にも期待が寄せられています。

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