鵝鑾鼻

鵝鑾鼻（がらんび）は、台湾本島の最南端に位置する岬で、屏東県恒春鎮に属し、墾丁国家公園内にあります。その地理的な特徴から、太平洋と南シナ海を分ける境界点であり、バシー海峡を隔ててフィリピンと対峙する重要な場所です。岬の西側には猫鼻頭があり、南湾を囲むように緩やかな弧を描いています。

自然と景観

鵝鑾鼻は珊瑚礁石灰岩で形成されており、その上に熱帯植物が茂っています。この独特な地形は、礁石林や洞窟など多様な景観を生み出し、鵝鑾鼻公園として整備されています。公園内には遊歩道が設けられ、海岸線にもアクセスできますが、波が高い日には注意が必要です。また、展望台からはバシー海峡を一望でき、美しい景色を楽しむことができます。

公園内には、サンゴ礁由来の奇岩や巨礁が点在しており、300種類もの熱帯植物が生息しています。これらの植物には解説板が設置されており、自然観察を楽しむことができます。また、アカモズや鷹などの鳥類も観察できるため、バードウォッチングにも適しています。公園に隣接する駐車場周辺には土産物店や飲食店が並び、観光客で賑わっています。

鵝鑾鼻灯台

鵝鑾鼻灯台は、航海の難所であったこの海域を航行する船にとって重要な役割を果たしています。1882年に清朝によって建設されたこの灯台は、世界でも珍しい武装灯台でした。日[[清戦争]]後に一時破壊されましたが、1898年に日本政府によって再建され、その美しい景観から台湾八景にも選ばれました。その後、太平洋戦争で再び破壊されましたが、戦後に再建され、現在に至ります。

灯台は白色の円柱形で、高さは21.4メートルです。1500Wの電球を使用し、10秒間隔で点滅する光は、20km先まで届きます。この灯台は「東亜の光」とも称され、台湾で最も出力の高い灯台の一つとして、歴史的な価値も高く評価されています。

歴史と文化

鵝鑾鼻には、約5000年前の先史時代の遺跡も発掘されており、その一部が再現されています。また、日本統治時代には、灯台の隣に鵝鑾鼻神社が建立されました。この神社は、鯨の顎の骨で鳥居が作られた珍しい神社で、当時は捕鯨基地であったこととの縁から鯨神社と呼ばれていました。神社は第二次世界大戦で破壊され、現在はその姿を見ることはできません。

第二次世界大戦中、鵝鑾鼻は高雄から東南アジア戦線へ向かう重要な輸送路の一部であり、バシー海峡は多くの船が行き交っていました。そのため、この海域では多くの戦没者が発生しました。現在では、戦没者遺族がこの地を訪れることも少なくありません。

その他の施設とアクセス

鵝鑾鼻には、台湾最南端を示すモニュメントが建てられています。また、台湾中央気象局の気象レーダーサイトも設置されており、気象観測の重要な拠点となっています。

アクセスとしては、高雄市の新左営駅や高雄駅からのバスが利用できます。新左営駅からは快速バスで約2時間、高雄駅からは約3時間で到着します。また、高雄空港からのバスも運行しています。

関連事項

• - 墾丁国家公園
• - 猫鼻頭
• - 灯台
• - 捕鯨文化

鵝鑾鼻は、自然、歴史、文化が融合した魅力的な場所です。台湾を訪れる際には、ぜひ一度足を運んでみてください。

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