鶉村 (岐阜県)

鶉村

鶉村（うずらむら）は、岐阜県稲葉郡に過去に存在した村であり、現在の岐阜市南部にあたる地域をその範囲としていました。この村は、荒田川と境川という二つの河川に挟まれた低地に位置していました。

村名の由来

村名の起源は、かつてこの地域に存在した「鶉郷（うずらごう）」に由来するとされています。鶉郷については、奈良時代に舎人親王の孫とされる人物がこの地を開拓した際に命名されたという伝承が残っています。郷土史料である『稲葉郡志』によれば、当時のこの一帯は湿地帯であり、ウズラが多く生息していたことから、その名が付いたと記されています。

地理

村域は、荒田川と境川という河川に囲まれた、比較的標高の低い土地でした。この地理的な特性が、村名の由来とも関連する低湿地としての性格を形成していました。

歴史

江戸時代、この地域は美濃国厚見郡に属し、加納藩の領地として治められていました。

近代に入り、1889年（明治22年）7月1日には、町村制の施行に伴って鶉村が正式に成立しました。その後、1897年（明治30年）4月1日には、厚見郡、各務郡、方県郡の一部が再編・統合され、新たに稲葉郡が発足したことにより、鶉村はこの稲葉郡所属となりました。

昭和初期には、農村部における社会問題が顕在化します。1927年（昭和2年）11月10日には、村内で小作争議が激化し、多数の農民が岐阜区裁判所を取り囲むという大規模な騒動に発展しました。これは当時の農村が抱えていた厳しい生活状況や社会情勢を背景とする出来事でした。

第二次世界大戦後の昭和の大合併の流れの中で、鶉村はその歴史を閉じます。1950年（昭和25年）8月20日、鶉村は隣接する岐阜市に編入され、自治体としての鶉村は廃止されました。これにより、村域は岐阜市の一部となり、現在に至っています。

教育

村には教育機関として、鶉村立鶉小学校が設置されていました。この小学校は現在も岐阜市立鶉小学校として存続しています。
また、稲葉郡内の佐波村、鶉村、日置江村の三村が共同で設置した組合立中学校「稲葉郡中学校組合立南部中学校」があり、この中学校は鶉村内に校舎が置かれていました。

交通

かつて、近畿日本鉄道が計画していた岐阜線が鶉村を通過する構想があり、村内に駅が建設される計画も存在しました。しかし、この近鉄岐阜線は結局実現に至らず、「幻の路線」となり、鶉村に鉄道駅が設置されることはありませんでした。

神社・仏閣

村内には、鶉田神社や津島神社といった神社が鎮座していました。これらの神社は、地域の信仰の中心として住民に親しまれていました。

関連項目

* 岐阜県の廃止市町村一覧

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