各務郡

各務郡（かかみぐん）

各務郡は、かつて美濃国、現在の岐阜県に存在した郡です。その領域は、現在の岐阜市の一部（長良川以東かつ岩田坂・岩田西以東）と各務原市の大部分（川島各町、成清町、神置町、下中屋町、大佐野町、上中屋町、松本町を除く）にあたります。

歴史

古代

各務郡の歴史は古く、大宝2年（702年）の御野国戸籍には「各牟郡」という表記が見られます。この頃には、郡司として少領各牟勝小牧と主帳勝牧夫という人物がいたことが記録されています。

「続日本後紀」では「各務郡」と表記され、「和名抄」では「加々美」と訓注されています。

貞観8年（866年）には、各牟氏が国司の意に反して尾張側の広野川掘開工事の現場を農民約700人を率いて襲撃するという「広野川事件」が発生しました。この事件は、当時の地方豪族と中央政府との対立を示す出来事として知られています。

郡家は、各務氏の本貫地である各務郷に所在していたと考えられています。また、東海道美濃国八駅の一つとして各務駅が設置されていました。

中世

承久の乱の際には、郡内の前渡（現在の各務原市）で幕府軍と官軍との間で激戦が繰り広げられ、官軍が大敗を喫しました。この戦いは、この地域が歴史の重要な舞台であったことを示しています。

郡内には、芥見荘、鵜沼荘、弓削田荘、蘇原荘などの荘園が存在していました。これらの荘園は、当時の経済や社会構造を理解する上で重要な要素です。

嘉元4年（1306年）の『昭慶門院御領目録』には、陶器所という所領の記述があります。室町時代に入ると、守護土岐氏の一族がこの地に土着し、地名を氏としたと伝えられています。

南北朝時代には、蘇原荘の地頭職にあった大見氏が、元々伊豆国大見郷の豪族であり、治承4年（1180年）の源頼朝挙兵に参加したという記録が残っています。

近世以降の沿革

明治初年時点での支配状況は、「旧高旧領取調帳」に記録されており、幕府領は美濃郡代が管轄していました。

慶応4年（1868年）には、幕府領と旗本領が笠松裁判所の管轄となり、その後笠松県の管轄となりました。

明治4年（1871年）には、廃[[藩置県]]により藩領が名古屋県、高富県となり、同年中に全域が岐阜県の管轄となりました。

明治7年（1874年）には、小網村が羽栗郡小網島村に合併し、三滝新田、野村、柿沢村が合併して三柿野村となるなどの村の統合が行われました。

明治8年（1875年）には、さらに大規模な村の統合が行われ、前洞村、大宮村、和合村、伊飛島村といった新しい村が誕生しました。

明治12年（1879年）には、郡区町村編制法の施行により、行政区画としての各務郡が発足し、「厚見方県各務郡役所」が厚見[[郡]]岐阜町に設置されました。

明治22年（1889年）には、町村制の施行により、那加村、上戸村、大野村、小佐野村、三井村、前渡村、若宮村、鵜沼村、各務村、須衛村、伊飛島村、和合村、大宮村、古市場村、持田村、三柿野村、岩田村、岩滝村、芥見村、大洞村が発足しました。

明治30年（1897年）には、郡制の施行に伴い、厚見[[郡]]、各務郡、および方県[[郡]]の一部が統合され、稲葉[[郡]]が発足し、各務郡は廃止されました。

行政

各務郡は、厚見[[郡]]、方県[[郡]]と共に「厚見方県各務郡役所」によって行政が管理されていました。

厚見・方県・各務郡長

各務郡の行政を担った郡長については、詳細な記録は残っていませんが、当時の行政システムの一部を担っていたと考えられます。

脚注

角川日本地名大辞典
旧高旧領取調帳データベース
岐阜県市町村合併等経過一覧表

関連項目

* 消滅した郡の一覧

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