鶴川層

鶴川層について

鶴川層（つるかわそう）は、東京都の多摩丘陵南東部に広がる上総層群の一部であり、最新の研究（2020年）によると、高野（1994）の層序区分が最も詳細です。この地層は貝化石や木片化石が多数発見されており、地質学的に重要な情報を提供しています。

分布と地質的特徴

鶴川層の分布範囲は主に、鶴見川の右岸に広がる町田市、川崎市麻生区の岡上、横浜市青葉区の恩田町周辺となっています。地層は緩やかな北傾斜を見せ、全体の層厚は約400メートル以上に達します。この地域は、化石の発見場所としても知られており、貝や木の化石が盛んに見られます。特に、針鉄鉱を芯とした巣穴化石が豊富に出土しています。

岩相と露頭の特徴

鶴川層における岩相は、全体として確認できる露頭が少ないため、その詳細は不明確ですが、観察された範囲では砂岩と泥岩の互層の様相が確認されています。また、比較的露出の条件が良い場所での岩相の層は、以下のように分類されます。

町田市図師

この地域では、潮間帯に生息する貝類の印象化石が見られる青灰色の塊状シルトが存在します。このシルトには、粒径30ミリメートル程度の粗粒な白色軽石が点在しており、これらの軽石は角閃石斑晶を豊富に含んでいます。

町田市野津田町

その次に見られるのは、異常堆積を伴った砂勝ち砂岩泥岩互層であり、ここには野津田タフが挟まれています。化石資料には不明種の合弁二枚貝化石や木片化石、巣穴化石があり、様々な生物の生息痕跡が残されています。

町田市野津田町川島

この地域では、現地性のイズモユキノアシタやカミブスマが多く見られる砂質シルトが発見されます。また、イズモユキノアシタやオトヒメハゴロモの印象化石が見られるシルト、泥の多い砂岩泥岩互層、葉理が発達した礫混じり砂層など、様々な層が堆積しています。層序の構造から見て、ここで観察される層は鶴見川左岸で確認される連光寺層に関連すると考えられています。

金井町木倉

金井町木倉では、単層の厚さが数センチから数十センチの泥勝ち細互層が見られ、ここにも金井タフが挟まれています。この記録に続く層の連続性は不明ではありますが、各層の地質学的特徴に基づいて解析が進められています。

結論

鶴川層は、その地理的な位置や多様な化石の種類から、多摩丘陵地域の地質研究において重要な役割を果たしています。地質学的な調査や化石の分析を通じて、この地域の過去の生態系や環境を解明する助けとなるでしょう。今後の研究により、さらなる知見が得られることが期待されています。

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