露頭

露頭：地質探求の窓

地質学において、露頭は地層や岩石が地表に露出している場所を指し、地質調査の基盤となる重要な存在です。海岸の断崖、河川の河床、道路工事の切り割りなど、自然現象や人為的活動によって地層や岩石が露出している場所が露頭として扱われます。鉱山においては、鉱物が露出した面も露頭と呼びます。

露頭を観察することで、地層の重なり順序（層序）、地層を構成する岩石の種類、含まれる化石の種類や量、鉱物の産状、断層や褶曲などの地質構造といった、多様な地質情報を得ることができます。これらの情報は、地球の歴史や地質構造を解明する上で不可欠な要素です。そのため、地質調査においては、海岸線、河川、道路などの沿線に露出する露頭が綿密に調査されます。

露頭の多様な様相

露頭は、その形成過程や対象によって様々な様相を呈します。例えば、海岸の露頭は波の浸食作用によって形成され、断面が鮮明に露出しているため、地層の層序や岩石の性質を詳細に観察するのに適しています。一方、河川の露頭は、河川の浸食作用によって形成され、岩石の風化作用の影響を受けやすい傾向があります。

また、人工的に露出した露頭も存在します。道路工事やトンネル工事などで地層が露出した場所や、鉱山における採掘現場なども露頭として利用されます。これらの露頭は、自然露頭とは異なり、露出面が人工的に形成されているため、観察の際には注意が必要です。

日本の代表的な露頭

日本には、様々な地質学的特徴を持つ露頭が数多く存在します。以下に、鉱物資源と地層に関する代表的な露頭を紹介します。

鉱石の露頭

松尾[[鉱山]]（岩手県）: 硫黄の露天掘りによって形成された露頭です。かつて盛んに行われた硫黄採掘の歴史を今に伝えています。
夕張岳（北海道）: 石炭の露頭が発見された場所であり、日本の近代化を支えた石炭産業の隆盛を物語っています。この露頭は、大規模な夕張炭鉱の発展につながりました。
岩尾別川（北海道）: 上流部に大規模な褐鉄鉱の露頭が存在します。この露頭は、地域の地質学的特性を知る上で重要な手がかりとなります。

地層の露頭

中央構造線北川露頭・安康露頭（長野県上伊那郡大鹿村）: 中央構造線は、日本列島を東西に横断する大断層帯です。この露頭は、中央構造線の活動によって形成された地質構造を詳細に観察できる重要な場所です。
中央構造線板山露頭・溝口露頭（長野県伊那市長谷）: 同様に、中央構造線の活動を示す重要な露頭です。
月出露頭（三重県松阪市）: 地質学的特徴を有する露頭として知られています。
* 伊豆大島地層大切断面（東京都大島町）: 伊豆大島の地層を鮮やかに見ることができる断面です。火山島の地質構造を理解する上で重要な場所です。

これらの露頭は、地質学研究の重要な拠点となっています。それぞれの露頭の特徴を理解することで、日本の地質構造や地球の歴史をより深く理解することができます。

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