鶴澤吉左衛門

鶴澤吉左衛門の名跡

鶴澤吉左衛門（つるさわ きちざえもん）は、義太夫節における三味線方の著名な名跡の一つである。この名跡は、代々の伝承を受け継ぎ、大切にされている。

初代吉左衛門

初代吉左衛門は、初めて「鶴澤辰之介」の名前で知られていたが、後に「鶴澤吉左衛門」に改名し、五代目三二を名乗ることになる。彼は長年にわたり五代目竹本染太夫（越前大掾）の相三味線を任され、その名声を広めました。

吉左衛門の師や初出座の詳細は不明だが、改名歴から少なくとも一度、辰之介から吉左衛門に変わったことが確認されている。これにより、彼の活動を始めた時期と地域が掴める。

初代鶴澤辰之介は、文化11年（1814年）から文政6年（1823年）にかけて、江戸と上方の両方で活躍していた。この時期、彼は様々な舞台に出演し、評価を高めていった。

文政8年（1825年）には、江戸の大薩摩座の番付にもその名前が見られ、彼の上方からの江戸下りが確認される。番付の口上によると、上方での襲名を済ませた後に江戸に向かう際に吉左衛門という名前を使うようになったと推測される。

その後も、江戸の大薩摩座や肥前座など、さまざまな劇場で活動を続け、特に文政11年（1828年）には京四条南側大芝居の番付に名を残している。

活発な活動

文政10年（1827年）以降は江戸で多くの番付に登場し、特に天保年間に入ると、彼の名前は頻繁に出てくる。天保2年（1831年）には、江戸土佐座での役柄によってその名が知られ、すぐに次の年に吉左衛門の名前で出座も果たした。

天保7年（1836年）には、再び「吉左衛門」として出座し、その後の活動も次第に注目を浴びるようになる。彼の名跡が持つ伝統とその芸技は、江戸だけでなく近畿地方でも高く評価されることとなった。

彼の活動は、やがて名跡が引き継がれるまで続き、非常に重要な位置を占めていたと考えられる。

二代目吉左衛門

二代目の鶴澤吉左衛門は、初代鶴澤清八および初代鶴澤清六の門弟であり、本名は辻新次郎という。この二代目もまた、当時非常に親しまれていた存在で、様々な場面でその名前が知られるようになる。

初代吉左衛門の名跡を受け継いだ二代目は、嘉永元年に吉左衛門の名を襲名し、近年の義太夫界に新たな風を吹き込む存在となった。彼は特に美しい演奏技法で知られ、周囲の人々と良好な関係を築くことで知られていた。

彼の活動は、明治時代にまで及び、特に明治11年（1878年）以降も地元の芝居などで見られることが多かった。最後の出座は明治12年に行われ、その後に亡くなったとの記録が残っている。

まとめ

鶴澤吉左衛門は、義太夫の伝承と発展を大いに助けた人物であり、彼の名跡は後世の三味線弾きたちに影響を及ぼし続けている。初代から二代目にかけての物語は、義太夫節の歴史の一部として語り継がれており、多くの人々に愛されている。

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