鷲峰寺

鷲峰寺（じゅうぶじ）

鷲峰寺は香川県高松市国分寺町に位置する天台宗の寺院で、山号は圓通山、そして本尊は千手千眼観世音菩薩です。この寺院は四国八十八箇所の第82番札所であり、新四国曼荼羅霊場の第13番札所でもあります。多くの参拝者が訪れるこの寺院は、歴史的な背景や文化財にも恵まれています。

歴史と由来

寺伝によれば、鷲峰寺は奈良時代の天平勝宝6年（754年）に唐の僧・鑑真によって建立されたとされています。鑑真はこの地の山がインドの霊鷲山に似ていることから、釈迦如来像を安置してこの寺を「鷲峰寺」と名付けたと伝えられています。平安時代には、貞観2年（860年）に円珍（智証大師）により清和天皇の勅願寺としても知られるようになりました。

戦国時代の天正年間（1573年-1593年）には、長宗我部元親の軍の攻撃によって伽藍が焼失しました。この事実について、歴史書『圓通山鷲峰寺縁起』には天正年間に焼かれたという記述だけが存在し、長宗我部との関連は明確ではありませんが、四国においてはこの出来事に対する特有の見解が存在することに注意が必要です。焼失後、寺院は荒廃し、仏堂のみが残されましたが、江戸時代前期の寛文元年（1661年）に高松藩主松平頼重が復興を命じ、三井寺から観慶阿闍梨を中興の住持として迎え入れ、延宝4年（1676年）には伽藍が再建されました。

境内の構造

鷲峰寺の境内には、主にしっかりとした造りの建物が並んでいます。境内には山門があり、その先には本堂が位置し、訪れる人々を迎え入れています。また、大師堂には弘法大師像を中心に、両脇に伝教大師像や智証大師像が並んでいます。護摩堂には不動明王が立像として祀られており、四天王収蔵庫も併設されています。地蔵堂には、地域の人々に長年親しまれている石像が安置されています。

さらに本坊や納経所もあり、訪れる人が多くの体験をできるよう配慮されています。新四国道では、本堂の背後の山を巡る約2kmの道に様々な石仏が配置され、参拝者に静寂な時を提供します。

文化財と審美

鷲峰寺は多くの文化財を有しており、その中でも重要文化財に指定されている「木造四天王立像」は特に名高いものです。この立像は、持国天、増長天、広目天、多聞天の4体で構成されており、鎌倉時代に作られたと推定されています。特徴的な服装やポーズについては、奈良の興福寺に存在する四天王像との類似が指摘されています。また、鷲峰寺には香川県の保存木として指定された2本のモミの木もあり、地域における自然の価値も認識されています。

参道と訪れる価値

参拝者は、鷲峰寺を訪れることで歴史的な場所の持つ重みを感じられるだけでなく、静けさの中で自らの心に向き合う時間も持てるでしょう。四国八十八箇所や新四国曼荼羅霊場の一環として、この寺は巡礼者にとって重要な位置を占めています。

鷲峰寺はその歴史、文化、そして心の洗濯の場所として、訪れる価値のある場所です。

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