鷹匠政彦

鷹匠政彦氏は、1952年2月、群馬県前橋市で生まれました。少年時代は剣道に熱中する一方で、美術部で油絵を学ぶなど、多様な才能を開花させていきます。

高校卒業後、1972年4月には、原宿学校（現・東京映像芸術学院）映像クリエイター科に入学。著名な脚本家である田村孟氏のゼミでシナリオを学び、映像表現の基礎を築きます。同級生には後に映画監督となる川島透氏や、脚本家・俳優として活躍する金子正次氏といった才能豊かな仲間たちがいました。

1975年5月、漫画家バロン吉元氏率いるプロダクションに入社。アシスタントとして漫画制作に携わる中で、漫画業界の実情を深く理解していきます。同期には、後に漫画家として成功する鴨川つばめ氏がいました。

1976年6月、小学館の総合男性誌『GORO』連載の『墜落王』（画：バロン吉元・他）で、漫画原作者としてデビュー。セルジオ関というペンネームで活動を開始します。その後、数多くの作品を手がけ、様々な出版社で作品を発表していきます。初期の作品は、アクションやサスペンスをテーマにしたものが多く、その独特の世界観と緊迫感あふれるストーリーで人気を博しました。

1978年1月にはバロン・プロから独立し、フリーの漫画原作者として活動の幅を広げていきます。独立後も精力的に作品を制作し続け、その才能はますます開花していきます。

1982年9月からは、目白のヨネクラ・ジムでボクシングを始め、1984年2月には剛柔流空手道に入門するなど、体を鍛えながら、作品制作に役立つ経験を積んでいきます。

1984年9月には、ペンネームを鷹匠政彦に改名。この改名とともに、自身の作風にも変化が現れていきます。より成熟した表現力と、社会問題への鋭い洞察が、作品に反映されるようになりました。

代表作のひとつである『力王』（画：猿渡哲也）は、1987年7月から1990年7月にかけて集英社『ビジネスジャンプ』誌で連載され、大きな成功を収めました。近未来を舞台にしたバイオレンスアクション作品として、独特の世界観と激しいアクション描写で読者を魅了し、87年度の集英社年間MVP賞を受賞するなど、高い評価を得ました。アニメ化、実写映画化もされ、幅広い層に知られる作品となりました。

連載活動と並行して、1988年から1990年にかけては、埼玉県浦和市（現・さいたま市浦和区）のタウン誌『うらわ』に、「21世紀図書館」というエッセイを連載。書評、映画評、社会時評など幅広いテーマを取り上げ、自身の知識と見識を披露しました。

1990年11月から1991年1月にかけては、ギリシャ船籍の老朽客船で地球一周の旅へ。二十数ヶ国を訪れ、世界各地の文化や風土に触れました。この旅の最中に湾岸戦争が勃発し、連載中の作品『瑠璃』の原稿の送付に困難をきたすというハプニングもありましたが、監修者である床井雅美氏の助けを得て、作品を完成させました。

1991年6月には、ロサンゼルスでADCA（Arai Defencive Combat Academy）に入門し、護身術や射撃術を学びます。その後、日本支部の創設と運営にも参加し、モハベ砂漠の訓練場で戦闘射撃の助教を務めるなど、実践的な経験を積みました。

1997年5月から6月にかけては、第二次世界大戦の日系二世部隊を描いた『ブッダヘッド』（画：橋本孤蔵）の取材のため、アメリカ本土とハワイを訪れ、米陸軍第442連隊の元兵士たちへのインタビューや、日系人収容所跡地への訪問を行いました。これらの経験は、作品のリアリティを高めるのに役立ちました。

1999年8月から2000年10月にかけては、『オペレーションGG』（画：さいとう・たかを）を連載。人質救出部隊の活躍を描いたこの作品は、綿密な取材に基づいたリアルな描写と、緊張感あふれるストーリー展開で好評を得ました。増刊号の総集編には、自ら「人質救出作戦の全貌」と題した長文のドキュメントを執筆しています。

鷹匠政彦氏は、漫画原作者としてだけでなく、武道、護身術、海外旅行など、多様な経験を積み重ねてきました。これらの経験は、作品に深みとリアリティを与え、読者に強い印象を与えていると言えるでしょう。多様な経験と知識を背景に、これからも新たな作品を生み出し続けることが期待されます。

もう一度検索