鷹型試作艦上戦闘機

鷹型試作艦上戦闘機

鷹型試作艦上戦闘機（たかがたしさくかんじょうせんとうき）は、三菱航空機が大日本帝国海軍向けに設計した艦上戦闘機です。この機体は社内では「1MF9」という名称で呼ばれました。1926年4月、海軍は一〇式艦上戦闘機を代替するための新型艦上戦闘機の開発を三菱をはじめとする三社に指示しました。これは、飛行機の不時着時に浮揚力を確保するための各種構造を盛り込むことが求められたためです。

三菱は、技師の服部譲次氏を主導者としてこのプロジェクトに取り組み、試作機の開発を開始しました。鷹型の試作一号機は1927年7月に完成し、二号機は同年9月にエンジンを搭載して飛行試験を行いました。しかし、最終審査の結果、より軽量化された中島のG式艦上戦闘機が最終的に三式艦上戦闘機として採用されることになり、鷹型は不採用となりました。

この機体は、三菱が開発した一〇式艦戦を基にした木製の骨組みで、羽布張りの複葉機という特徴がありました。特に浮揚力を強化するために胴体と下翼前面を水密化し、V字型の滑水底面を採用した設計がされていました。また、他の試作機とは異なり、初めて飛行機にフラップが装備されたものとなり、実戦に向けた新たな機能を持っていました。機体の設計には多くの新技術が盛り込まれている一方で、これらの構造改良により重量の増加も懸念されました。

機体の主要なスペックは次の通りです。全長は8.443メートル、全幅は10.80メートルであり、高さは3.403メートルにおよびます。また、主翼の面積は41.5平方メートル、自重は1,272キログラムとなっています。全備重量は1,855キログラムで、エンジンには三菱製のヒ式450馬力の水冷V型12気筒エンジンを搭載していました。このエンジンは最大600馬力を発揮し、最大速度は244.5キロメートル毎時に達しました。また、実用上昇限度は7,000メートル、航続時間は3.5時間と優れた性能を持っていました。

武装としては、7.7mm固定機銃を2門、30kg爆弾を2発搭載することが可能で、乗員は1名という設計でした。さらに鷹型は、日本人の設計による純国産艦上戦闘機として初めての機体であり、その歴史的意義も強調されます。具体的なデータは、全長や幅、高さなどの数値に加え、エンジン性能や武装に至るまで多岐にわたり、当時の技術力とともに日本の航空機の発展に寄与した一翼を担う機体として記憶されることでしょう。

参考文献としては、野沢正氏の『日本航空機総集 三菱篇』が挙げられ、当時の技術や設計について詳細な情報が記載されています。この資料は1961年に出版されたもので、126 - 128頁にわたって鷹型試作艦上戦闘機についての情報が紹介されています。

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