鹿児島のベルナルド

鹿児島のベルナルド

鹿児島のベルナルド（生年不詳 - 1557年3月）は、16世紀の日本人キリシタンであり、日本人初のヨーロッパ留学生として歴史に名を刻んでいます。彼の洗礼名「ベルナルド」のみがイエズス会の記録に残されており、日本名は不明です。

生涯

1549年、フランシスコ・ザビエルが鹿児島に到着し、ベルナルドは彼から最初の洗礼を受けた日本人となりました。その後2年間、ベルナルドはザビエルの活動を献身的に支え続けました。1551年、ザビエルが日本を離れる際、ベルナルドは他の4人の日本人と共に同行しました。一行は、マラッカ、コチンを経て1552年2月にゴアに到着しました。ザビエルは中国を目指し、ベルナルドと別れてゴアを出発しました。ゴアに残ったベルナルドは、マテオと共にイエズス会学校で学びましたが、マテオは病死、他の二人は消息不明となりました。

一人残されたベルナルドは、1553年にポルトガルに向けて出発し、リスボンに到着しました。長旅の疲れから病に伏せましたが、回復後、コインブラの修道院で生活を始めました。イエズス会員としての養成を受ける中、彼の信仰心と真摯な態度はローマのイグナチオ・デ・ロヨラに伝えられ、ロヨラの招きでローマへ旅立つことになりました。

1554年、ベルナルドは陸路スペインを経て、イタリアに渡り、ローマに到着しました。長旅で体調を崩しながらも、ロヨラとの対面、ローマ教皇パウルス4世への謁見を果たしました。ロヨラはベルナルドの健康を常に気遣っていたと伝えられています。

1555年、ローマを離れたベルナルドは、リスボンに戻り、コインブラで学びましたが、長年の疲労から体調を崩し、1557年3月、四旬節の初めに亡くなりました。東洋から来たベルナルドの深い信仰と清い生き方は、ヨーロッパのイエズス会員たちに大きな感銘を与えたとされています。

銅像・記念碑

1999年、ザビエル来日450周年を記念して鹿児島に建立されたザビエル像の隣には、ザビエルに愛された青年ベルナルドの像が建てられています。この像は、鹿児島市のザビエル公園内にあります。

参考文献

Pasquale M.D' Elia S.J., 本田善一郎訳「ローマを訪れた最初の日本人ベルナルド（1555年）」『キリシタン研究』第5輯、吉川弘文館、1955年、3-31頁。
根占献一『東西ルネサンスの邂逅－南蛮と禰寝氏の歴史的世界を求めて』東信堂、1998年、97 - 100頁。
* 松下栄子「最初のヨーロッパ留学生―鹿児島のベルナルド」鹿児島純心女子大学国際文化研究センター編『新薩摩学 薩摩と留学生』南方新社、2006年、43 - 68頁。

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