鹿児島市交通局20形電車

鹿児島市交通局20形電車について

鹿児島市交通局の20形電車は、1978年に登場した路面電車です。主に観光用の花電車として利用されており、市民や観光客に親しまれています。特にその美しい装飾やデザインは、多くの人々の目を引き、鹿児島市の風景の一部となっています。

歴史的背景

この電車は、経営が厳しい鹿児島市交通局が市電50周年を記念して導入したもので、赤字経営をなんとか打破しようという試みの一環です。当時、西鉄福岡市内線で花電車として使用されていた20形の車両を譲り受け、これを基に鹿児島市向けに花1号や花2号の形で復活させました。これにより、鹿児島の観光名所としての役割を担うこととなります。

車両の特徴

車体構造はフラットであり、前照灯等の装置は取り付けられていません。また、譲受後に設けられた運転台前面のベスティビュールが特徴的です。電車の集電装置はパンタグラフで、独特なデザインを持っています。加えて、台車はブリル21E形の2軸単車であり、製造自体は1911年に遡りますが、1948年に花電車としての改造が行われた経歴があります。

改造と流用

花電車として位置付けられた花1号は、一時期、散水車に改造され、火山灰の飛散を抑えるために使用されました。しかし、散水自動車の普及によりこの利用は徐々に減少し、2001年には元の花電車に戻されることとなりました。さらに1988年には、西鉄北九州線の「わっしょい百万夏まつり」のために花2号が貸し出されました。

花3号の登場

2021年2月には、500形504号が無蓋化改造され、花3号が誕生しました。花1号や花2号とは異なるデザインを持ちながらも、同じく花電車としての役割を果たしています。

廃車のプロセス

残念ながら、花1号は2013年に廃車となり、その車両は解体されました。花2号も2021年には廃車となりましたが、その後保管措置が取られました。それに続いて、鹿児島市交通局は花2号を無償譲渡する方針を決定し、2023年には北九州線車両保存会に譲渡され、保存されています。

運行状況

この電車は年に一度、特に「おはら祭」の際に運行されることが主な役割です。近年では、祭りの開催に伴い、市内を走行し、会場では展示されることが一般的となっていました。2020年には花2号の運行が最後となり、以降は花3号が後を継ぎましたが、新型コロナウイルスの影響で運行中止となることもありました。

全体として、鹿児島市交通局の20形電車はその歴史的価値と美しさで、地域の文化を今に伝え続けています。

もう一度検索