鹿児島市交通局800形電車

鹿児島市交通局800形電車に関する詳細情報

鹿児島市交通局800形電車は、1967年に運行を開始した鹿児島市の路面電車車両であり、長い間地域の交通インフラに寄与してきました。1960年代後半、鹿児島市交通局はワンマン運転の導入を予定しており、そのために既存の車両を改造する必要性が高まりました。この時期、既に木造車両が老朽化しており、適切なワンマン運転対応の車両が不足している状況でした。

このような背景の中、鹿児島市交通局は、他社からの中古車両の導入を決めました。具体的には、1966年から1969年にかけて、大阪市交通局から2601形の32両を譲り受け、それらを鹿児島市交通局向けに改造し、800形801 - 832として運用を開始しました。これらの車両はナニワ工機の工場で改造された後、鹿児島市に輸送されました。初めての竣工は1967年6月28日で、以降も順次車両が完成していきました。

車両の改造と特長

800形電車の設計は、大阪市交通局の2601形を基にしていますが、台枠を残して前後の窓がある部分を一度解体し、車体幅を狭めるという大規模な改造が行われました。この改造により、鹿児島の車両限界に合わせた形状に変更されました。また、ワンマン運転に適応するため、車両の構造にも手が加えられました。

なお、801 - 806号車には上昇式の車掌台側窓が採用されている一方で、807号車以降では横引き式の窓に変更されています。また、運行の際の乗客の乗り降り方法も変わり、後の車両は中央扉から乗車し前部扉から下車するスタイルに統一されています。

機器と運用について

800形電車は、滑らかな走行を実現するために、ブリル77E相当の台車を使用していますが、一部は住友製鋼所製の台車に交換されている車両も存在します。主電動機にはSS-50が使用され、各台車に1基ずつ搭載されています。制御器は直接式のものが採用されており、直通ブレーキによって安全な運行が確保されています。また、集電装置については、移行当初はビューゲルが使われていましたが、その後菱枠型パンタグラフに交換されています。

800形電車の導入は、鹿児島市の交通事情に大きな影響を与えました。1963年から譲渡された200形や210形、さらに旧王子電気軌道由来の木造車などの古い車両が、800形によって置き換えられ、鹿児島市電の運行形態は一新されました。これにより、109形や400形といった他車両の設計も見直され、鹿児島市交通局の車両は大阪市電の影響を受けつつ、さらなる近代化が進展しました。

終焉とその後

800形電車は導入から約10年以上にわたり、鹿児島市を代表する路面電車として活躍し続けましたが、1985年に一部路線が廃止されると共に余剰と化した車両もありました。1987年には改番が行われ、1990年代に入ると他の新型車両にその役割を取って代わられることとなります。約30年間にわたる活動を経て、800形は車両の老朽化が進み、2000年にはその主要機器が9500形に譲渡され、その後廃車となりました。

結局、鹿児島市交通局800形電車は市内交通の重要な一部を担い、長い間市民の移動手段として重用されており、多くの人々の記憶に残る存在となっています。

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