鹿島建設爆破事件

鹿島建設爆破事件の概要

1974年12月23日午前3時10分、東京都江東区にあった鹿島建設のKPH（鹿島式プレハブハウス）工場の資材置場が、東アジア反日武装戦線「さそり」グループによって爆破されました。この事件は、連続企業爆破事件の一つとして位置づけられています。

背景

鹿島建設は財閥系企業ではありませんでしたが、戦時中に発生した花岡事件との関連で知られていました。花岡事件とは、中国人労働者が鹿島建設の工事現場で虐待を受け、多数が死亡した事件です。東アジア反日武装戦線は、この花岡事件を「鹿島建設の反革命犯罪」とみなし、企業テロの標的としました。作戦名である「花岡作戦」も、この事件に由来しています。

実行グループ

爆破を実行した「さそり」グループは、黒川芳正や宇賀神寿一らを構成員とし、特に日雇い労働者問題に関心を抱いていました。鹿島建設を標的とした理由は、花岡事件を起こした「犯罪企業」であるというだけでなく、日雇い労働者を搾取するゼネコンに対する攻撃の意図もありました。彼らは、企業が社会的な弱者を搾取する構造に強く反発していました。

爆破の意図

東アジア反日武装戦線は、大成建設爆破事件のように鹿島建設の本社を狙うのではなく、工場を爆破しました。これは、現場労働者の「覚醒」を促すという意図があったとされています。彼らは、労働者自身が搾取の構造に気づき、立ち上がることを期待していました。

事件の影響

鹿島建設爆破事件は、当時の社会に大きな衝撃を与え、企業に対するテロという手段が社会問題への警鐘として用いられるという点で、議論を呼びました。また、東アジア反日武装戦線の活動は、その後の日本の社会運動にも影響を与えました。

参考文献

松下竜一『狼煙を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』（読売新聞社・戦後ニッポンを読む、1997年） ISBN 4-643-97116-9
松下竜一『狼煙を見よ 東アジア反日武装戦線“狼”部隊』（河出書房新社・松下竜一その仕事22、2000年） ISBN 4-309-62072-8

関連項目

東アジア反日武装戦線
連続企業爆破事件
鹿島建設
花岡事件

もう一度検索