宇賀神寿一

宇賀神寿一：学生運動から武装闘争、そして社会運動へ

宇賀神寿一（うがじん ひさいち、1952年12月28日 - ）は、日本の学生運動家であり、テロリストとして知られています。アナーキスト系の新左翼活動家として、東アジア反日武装戦線「さそり」部隊の元メンバーでした。逮捕後は、新左翼逮捕者らの人権団体の救援連絡センター事務局員として活動しています。

生い立ちと活動の原点

宇賀神は東京都出身です。活動家としての目覚めは、明治学院高等学校時代のベトナム反戦運動だったと語っています。その後、部落解放運動や在日朝鮮人・韓国人の活動に関わり、三里塚闘争にも参加しました。

1971年4月、明治学院大学社会学部に進学。大学在学中は、「学費値上げ反対闘争」や「ワーキングプア救済闘争」に参加し、逮捕も経験しました。明治学院大生の学生運動家の獄中闘争支援や在日問題に関わる中で、反体制、反日思想を強めていきました。

1972年10月頃、他大学の学生活動家を通じて、山谷の下層労働者を支援するグループ「底辺委員会」の会議で、後に「さそり」部隊で共に武装闘争を闘うことになる黒川芳正と出会います。学生を続けながら、同年末から年始にかけての山谷の越冬闘争に初めて参加し、「日雇い下層労働者の置かれている現実を実地で知り、労働者の闘いに立ちはだかる警察権力やヤクザとの関係の中で、闘いの道義性への確信を深めていった」と述べています。

武装闘争への道

1973年の夏には、単身で大阪の釜ヶ崎に赴き、日雇い肉体労働を経験します。労働者同士のケンカをきっかけに、労働者たちが怒りや不満を口々に叫び始め、暴動へと発展するかのように見えた際、私服警官による暴力的弾圧を目の当たりにしたといいます。この経験から宇賀神は、「国家権力の暴力に対抗する闘いが必要である」と考えるようになったと述べています。

同年秋頃、黒川から高田馬場や川崎の寄せ場の実態調査を打診され、労働条件の改善や悪徳業者を追及する取り組みを支援します。年末年始の山谷越冬闘争では、行政による労働者の一時収容施設への刈り込みと収容施設の実態調査に従事しました。

宇賀神は「下層労働者の闘いをさらに発展させるためには武装闘争が必要である」との考えを持つようになり、1974年6月、黒川との話し合いの中で武装闘争に踏み出す決意をします。同年より、明治学院大学の学生であった桐島聡と共に、東アジア反日武装戦線「さそり」に参加し、一連の連続企業爆破事件に関与しました。

逮捕と獄中生活

1975年5月19日、東アジア反日武装戦線の主要メンバーが逮捕され、黒川の所持品から宇賀神の存在が浮上しました。警察に指名手配された宇賀神は、地下潜行生活に入ります。明治学院大学からは除籍処分を受けました。

指名手配から7年後の1982年7月13日、東京都板橋区内で逮捕。宇賀神は偽名で新聞販売店で働いていました。1990年2月、最高裁が懲役18年の判決を維持し、刑が確定。岐阜刑務所に13年間服役し、2003年6月11日に出所。未決勾留期間も含め、合計21年間の獄中生活を送りました。

出所後の活動

出所後の宇賀神は救援連絡センターに就職し、事務局員として同センターの運営を担い、「冤罪のない社会」を目指して活動を続けています。また、三里塚闘争関係者がいる一般社団法人スズガモで、介護にも従事しています。

現在も社会運動に関わり、講演や執筆活動を通じて、自身の経験や思想を発信しています。

著書

『ぼくの翻身[ふぁんしぇん] 宇賀神寿一 最終意見陳述集他』（発行:東アジア反日武装戦線への死刑・重刑攻撃と闘う支援連絡会議）

関連項目

東アジア反日武装戦線
* 連続企業爆破事件

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