鹿島郡 (茨城県)

鹿島郡の歴史と変遷

鹿島郡（かしまぐん）は、茨城県（旧常陸国）に存在した行政区画であり、古代から近代にかけて多くの歴史的な出来事を経て、平成の大合併まで存続していました。この郡は、650年頃に設立され、その最初の目的は鹿島神宮の神郡としての役割を担うことでした。

古代の歴史

この郡が成立したのは大化5年（649年）のことで、当初は下総国海上国造の管轄下にありました。“他田日奉神護”という名前の人物が正倉院文書に残した記録には、彼の祖父である忍が海上郡の少領を務めていたことが記載されています。鹿島神宮に近いこの地域は、香島評の一部として重要視され、特に大化から天武天皇期にかけて設置された八神郡の一つとして知られています。

郡司の任命においては、通常、近親者の連任が禁止されていましたが、鹿島郡では鹿島氏が代々神社を守ってきたため、特例としてこれが許可されることがありました。このような事情から、鹿島郡は神社と深い結びつきを持っていました。

近年の発掘調査により、郡衙（郡家）跡が鹿島神宮の南に位置する神野向遺跡で見つかりました。この場所は『常陸国風土記』に記された郡家の位置とも一致しており、8世紀から10世紀にかけての重要な歴史的証拠を示しています。遺構の中には郡庁の内部区域や正倉院の施設が含まれており、特に正殿の周囲に回廊が存在することが注目されました。この遺跡は現在、国の史跡として保護されています。

中世から近世へ

明治時代には、鹿島郡は複数の支配体制の下で地域が編成されていました。明治初年の調査によれば、鹿島郡は127の村から構成されており、様々な寺社領や幕府領の影響を受けていました。1868年、安藤支配所の管轄が変わると、郡の構成にも影響を与えました。

この時期、鹿島郡では大規模な合併が進行し、複数の村が新たな町村に統合されていきました。1889年の町村制施行以降、鹿島郡には多くの町村が設立され、合併も頻繁に行われました。

現代の変遷

1954年には鹿島町、高松村、豊津村、及び波野村が合併し、新たな鹿島町として誕生しました。さらに、1955年には多数の村が合併し、行政区画としての鹿島郡は少しずつ縮小していきます。

1995年、鹿島町は大野村を編入し、即日市制施行を行って鹿嶋市に変わりました。2005年には神栖町も波崎町を編入し、神栖市になったため、鹿島郡は消滅してしまいました。しかし、その歴史と文化は現在でも地域に深く根付いており、多くの人々に愛されています。

総括

鹿島郡は、長い歴史を有し、多彩な文化的背景を持った地域でした。鹿島神宮とその周辺の関連遺産、郡の行政変遷など、多くの魅力が詰まった場所だと言えるでしょう。

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