麻布狸穴町

麻布狸穴町について

麻布狸穴町（あざぶまみあなちょう）は、東京都港区にある興味深い町名で、港区の麻布地区総合支所の管轄下にあります。住所が住居表示未実施区域に位置していて、郵便番号は106-0042です。この地域は、外苑東通りから渋谷川の谷へ向かう傾斜地にあり、大部分はマンションや住宅が立ち並ぶ住宅地となっています。町の北には麻布台、南には東麻布、西には麻布永坂町と接しています。かつてはソ連大使館（現：ロシア大使館）があった場所でありましたが、住居表示の実施とともに町名が変更され、麻布狸穴町の一部が麻布台二丁目となっています。

地理的特徴

この地域の特筆すべき点は、傾斜地の地形であり、狸穴坂という名称の坂道が外苑東通りから続いています。ここは、港区内に残る住居表示未実施区域の一つで、周辺の街並みとは異なる独特の雰囲気を醸し出しています。

歴史の背景

麻布狸穴町の歴史は、江戸時代まで遡ります。かつてこの地域は、豊島郡麻布領の飯倉村の一部として発展し、次第に町並みが形成されるようになりました。昔、この地域には武家屋敷が並ぶ高台と、庶民の家が建ち並ぶ低地が存在し、静かで優雅な雰囲気が保たれていました。明治時代中期には、地域の中に海軍によって観象台が設けられ、その跡地には日本経緯度原点が設置されています。

狸穴町には、名物であった蕎麦屋「狸蕎麦」があり、地元ではその味が評判でした。この蕎麦屋は、江戸時代に狸にまつわる伝説によって名付けられ、歴史的な背景を持つ存在でした。昭和時代には、狸蕎麦という暖簾を掲げた蕎麦屋も営業していましたが、その関係は不明です。

地名の由来

麻布狸穴町の名称は、ここに生息していたアナグマに由来しています。「まみあな」という言葉から出発し、後に狸の字が混同されて「狸穴」と表記されるようになりました。特に、長い坂の下に雌狸が住んでいた大きな洞穴があったことが地名の起源と言われています。

町名の残存

1962年以降、港区では新しい街の画が設定され、数多くの歴史ある町名が消えていきました。しかし、麻布狸穴町と麻布永坂町は、それにもかかわらず名称を存続させました。これは、地域の住民がその歴史的価値を訴え、町名存続のための反対運動を行った結果です。

現在の状況

2019年時点での麻布狸穴町の世帯数や人口に関するデータも存在し、町は今もなお住民によって支えられています。また、近隣には港区防災器材収納庫などの施設も見られます。さらに、この町はさまざまな作品の舞台としても名を馳せ、映画や楽曲に名が登場することもしばしばです。

麻布狸穴町は、その長い歴史や独特の地名の由来、地域の特徴によって、東京都内でも特に面白い地域の一つに数えられています。

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