麻疹ウイルス

麻疹ウイルスについて

麻疹ウイルス（Measles morbillivirus）は、はしかを引き起こすウイルスとして知られ、パラミクソウイルス科のモルビリウイルス属に属する一本鎖RNAウイルスです。その直径は100〜250nmで、エンベロープを持ち、病原性の鍵となるF（フュージョン）蛋白質とH（ヘマグルチニン）蛋白質の2種類の構造蛋白質を表面に持ちます。

このウイルスは、麻疹だけでなくリンパ系の組織にも感染し、その結果として免疫抑制を引き起こすことが特徴です。また、ウイルスは脳内に潜伏しやすく、変異を経て亜急性硬化性全脳炎（Subacute Sclerosing Panencephalitis, SSPE）を引き起こすこともあります。この変異したウイルスは「SSPEウイルス」として知られています。

麻疹ウイルスは遺伝子解析によって24種類の遺伝子型に分類されます。日本においては、2010年から2018年の間に検出された遺伝子型はH1、G3、D9、D8、D5、D4、B3型の7種類です。この期間中の特にD8型が2012年、2017年、2018年に多く見られ、B3型は2013年と2014年に優勢でした。

このウイルスは、熱や紫外線、酸、エーテルなどの影響を受けやすく、不活化されやすいのが特徴です。空気中や物体の表面での生存時間は短く、感染力も高いですが、環境下での持続性は限られています。

麻疹ウイルスの起源について、牛疫ウイルスが関与していると考えられています。ロベルト・コッホ研究所の研究によると、ヒトに感染するこのウイルスは紀元前6世紀ごろに出現したと推測されています。これは、ユーラシア大陸における都市の発展とも関係があったとされています。

関連項目

• - 麻疹ワクチン
• - 牛疫ウイルス
• - イヌジステンパーウイルス

参考文献

• - 關文緒、竹田誠「モルビリウイルス：麻疹ウイルス，イヌジステンパーウイルスなど」『ウイルス』第62巻第2号、日本ウイルス学会、2012年。
• - 『麻疹ウイルス』 - コトバンク

麻疹ウイルスは、公共の健康において警戒すべき重要なウイルスであり、予防接種により感染を防ぐことができます。正しい知識を持ち、対処法を理解することが、感染症の拡大を防ぐために必要です。

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