黄アルム

黄 アルム（ファン・アルム）

1987年10月17日、大韓民国のソウル特別市に生まれた女子プロゴルファーです。現在は特定の所属先を持たず、フリーランスとして活動しています。

プロキャリアの始まり

プロゴルファーとしてのキャリアは、2006年4月に韓国女子プロゴルフ協会（KLPGA）へ入会したことから始まりました。しかし、残念ながらKLPGAツアーでの優勝実績はありませんでした。

翌2007年からは活動の場を日本に移し、日本女子プロゴルフ協会（JLPGA）の下部ツアーであるステップ・アップ・ツアーに参戦します。そして2008年5月、ステップ・アップ・ツアーの「ジョイント・コーポレーションカップ」で、プロ入り後初めての優勝を飾りました。同年中に同ツアーでさらに1勝を追加しています。

日本女子ツアー本格参戦と初勝利

ステップ・アップ・ツアーでの活躍を経て、2008年7月に日本女子プロゴルフ協会（JLPGA）の最終プロテストに挑戦し、見事トップの成績で合格を果たしました。同年からJLPGAツアーに本格参戦し、年間獲得賞金ランキングで44位に入り、自身初のシード権を獲得しました。

日本ツアー初勝利は2009年4月の「ヤマハレディースオープン葛城」でした。この大会では、最終的に通算11アンダーまでスコアを伸ばし、2位に8打差をつける圧勝でした。この優勝を含め、2009年は賞金ランキング22位となり、以降2013年まで6年連続で賞金シードを維持するなど、安定した強さを見せました。

試練と復帰

しかし、キャリアの中で大きな試練も訪れます。2014年1月、神奈川県内で乗用車を運転中に交通事故を起こし、90歳の男性をはねてしまいました。この事故により、黄選手は自動車運転過失傷害の現行犯で逮捕されました。その後、はねられた男性が亡くなったことから、容疑は過失致死に切り替えられることとなりました。

逮捕から2日後に釈放され、その翌日には記者会見を開き、事故への謝罪と共に、当面の間は活動を自粛する意向を表明しました。その後、遺族との間で示談が成立し、3月には小田原簡易裁判所から罰金30万円の略式命令を受けました。JLPGAからも、5月27日までの1ヶ月間、会員としての権利停止という懲戒処分が下されました。これらの手続きを経て、5月30日の「リゾートトラストレディス」からツアーに復帰しました。

事故の影響もあってか、2014年から2017年の期間は、2015年に賞金ランキング43位で一度シード入りを果たした以外は、かつての安定した成績を残すことができませんでした。

劇的な復活と複数勝利

再び黄アルム選手が脚光を浴びたのは、2018年のシーズンでした。同年7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で、プレーオフの末に勝利を収め、2009年以来となるJLPGAツアー2勝目を挙げたのです。この勝利は、約9年3ヶ月ぶり（9年115日）のツアー優勝であり、日本ツアーにおけるブランク期間からの復活勝利としては、中嶋千尋選手に次ぐ史上2番目の記録となりました。黄選手自身も「あまりにも時間が経ちすぎて、前回の優勝を忘れるほどだった」と語るほどの長い雌伏期間を経ての快挙でした。

この優勝をきっかけに波に乗り、同年さらに「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」、「伊藤園レディスゴルフトーナメント」でも勝利を挙げ、年間合計3勝を達成しました。年間獲得賞金も9千万円を超え、自身最高位となる賞金ランキング6位に入るなど、まさに劇的な復活を遂げたシーズンとなりました。

2019年10月には、台風の影響で競技が短縮された「スタンレーレディスゴルフトーナメント」で、日本ツアー通算5勝目を挙げました。最終的に賞金ランキング16位となり、2年連続でシード権を獲得するなど、トッププロとしての存在感を示し続けています。

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