黄海道 (日本統治時代)

黄海道（ファンヘド）

黄海道は、日本統治時代の朝鮮に置かれた行政区画の一つであり、現在の朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の黄海北道と黄海南道に相当する地域です。一部の島嶼は大韓民国（韓国）の仁川広域市に属しています。道庁は海州に置かれていました。

地理

黄海道は朝鮮半島の中西部に位置し、西側は黄海に面しています。北は平安南道、東北は咸鏡南道、東は江原道、そして東南は京畿道と接していました。この地理的な位置は、黄海道が様々な地域との交流があったことを示唆しています。

人口

1936年（昭和11年）の調査によると、黄海道の総人口は1,639,250人でした。その内訳は、内地人（日本人）が20,582人、朝鮮人が1,614,738人、その他が3,970人となっており、朝鮮人が大多数を占めていました。

行政区分（1945年当時）

黄海道は、以下の1府17郡で構成されていました。

府

海州府

郡

碧城郡
延白郡
金川郡
平山郡
新渓郡
長淵郡
松禾郡
殷栗郡
安岳郡
信川郡
載寧郡
黄州郡
鳳山郡
瑞興郡
遂安郡
谷山郡
甕津郡

これらの郡はさらに面という行政区画に分かれており、各郡で異なる特色を持っていました。

司法

1941年（昭和16年）当時、海州地方法院とその支庁が瑞興、沙里院、松禾に置かれており、司法行政を担っていました。また、海州には刑務所が設置されていました。

警察

1927年（昭和2年）当時、黄海道警察部が海州に置かれ、各警察署が管轄区域の治安維持にあたっていました。憲兵部隊も配置されており、治安維持活動を担っていました。

税務

1941年（昭和16年）には、海州と沙里院に税務署が設置されており、税務行政を行っていました。

気象

1942年（昭和17年）には、海州と新幕に測候所が設置され、気象観測が行われていました。

鉄道

1945年（昭和20年）には、総督府鉄道が黄海道内を走り、京義線、兼二浦線、土海線、甕津線、長淵線（後の殷栗線）、沙海線、下聖線、鼎島線、内土線が運行していました。これらの路線は、人や物資の輸送に重要な役割を果たしていました。

道路

1927年（昭和2年）には、京城義州線、金化南川店線などの一等道路や、議政府平壌線、京城海州線などの二等道路が整備されており、交通網が発達していました。

港湾

1931年（昭和6年）には、龍塘浦港、羅津浦港、釜浦港、夢金浦港、所也港、津江浦港が地方港として機能していました。

鉱山

黄海道には、遂安金鉱、栗浦金山、安岳鉄山、載寧鉄山、鳳山炭鉱、銀山面鉄山、南陽鉄山、兼仁浦鉄山、殷栗鉱山、百年鉱山など、多くの鉱山が存在しました。これらの鉱山は、当時の産業を支える重要な役割を担っていました。

神社

海州神社、兼二浦神社、延安神社、安岳神社が建立されていました。

主要企業

1940年（昭和15年）当時、黄海道内には、黄海農業、朝鮮セメント、朝鮮浅野セメント、西鮮重工業、黄海自動車運輸、海州殖産、黄海興業、桂園産業、大成実業などの企業が存在していました。これらの企業は、地域の経済活動に大きく貢献していました。

マスメディア

1945年（昭和20年）には、朝鮮放送協会海州放送局（JBKK）が開局しており、ラジオ放送を通じて情報が伝えられていました。また、黄海日報という日本語新聞も発行されていました。

出身有名人

独立運動家の金九が黄海道出身として知られています。

参考文献

戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）

関連情報

朝鮮八道 - 黄海道
朝鮮総督府 - 日本統治時代の朝鮮の行政区画
朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画
* 大韓民国の地方行政区画

黄海道は、多様な歴史的背景を持つ地域であり、その歴史と文化は現在にも影響を与えています。

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