朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画

北朝鮮の地方行政区画

朝鮮民主主義人民共和国の地方行政区画は、その実効的な統治区域を元に、様々な行政区によって構成されています。2020年時点で、この国には1つの直轄市、3つの特別市、9つの道が存在し、これらの下には特級市、市、郡、区域、区、地区が置かれています。この制度の背後には、中央集権的な行政システムが見受けられ、地方の自主性は限られています。

1. 行政区画の概要

北朝鮮の行政区画は、基本的には「直轄市」「特別市」「道」といった大きな区分があり、さらにそれらは「市」「郡」「区域」などによって細分化されます。直轄市は平壌だけであり、特別市には羅先、南浦、開城の3つがあります。特別市は韓国の広域市に類似した位置付けです。郡は、韓国の郡よりも日本の市町村の「町」に近い位置付けとされます。

直轄市、特別市、市は「区域」として細分化され、さらに道直轄で「区」や「地区」などの区分も存在します。各地域には地方人民会議と、人民会議によって選ばれた地方人民委員会が設置されており、後者は具体的な行政を担当しています。憲法では地方人民会議が地域の権限を持つ機関とされていますが、実際には、上級人民委員会や内閣に従属した形で機能しています。

2. 歴史的背景

1945年8月の終戦以降、38度線を境に米国とソ連によって朝鮮は分割されました。その結果、北側の地域にはいくつかの道が設定され、朝鮮戦争を経て1952年には行政区画が再編成されました。この際、邑や面の行政単位が廃止され、郡の細分化や洞、里の統廃合が進められました。

1946年には平壌が直轄都市に昇格し、以降も新しい道の設立や行政単位の変更が続いています。特に、開城特別市や南浦特別市は、一定の独自性を持った地域として存在していますが、それでも中央政府の影響からは逃れられません。

3. 特殊な地域

北朝鮮には特定の地方が特殊な地位を持つ経済特区として認められています。例えば、新義州特別行政区は2002年に設置され、中国の特別行政区をモデルとした地域です。この地域では、地元の法律が一部適用されない特例法が設けられています。

金剛山国際観光特別区や開城工業地区なども、特定の地域での経済活動を促進するために設置されていますが、これらの地域の運営は、しばしば政治的な状況によって影響を受けることが多いです。また、羅先経済特区などは、北朝鮮の中で初めて市場経済を導入した地域として注目されています。

4. 行政区の一覧

現在の北朝鮮の行政区画は、以下のように整理されています。直轄市1、特別市3、道9が基本的な枠組みです。

• - 直轄市: 平壌市
• - 特別市: 羅先市、南浦市、開城市
• - 道: 平安南道、平安北道、慈江道、江原道、咸鏡南道、咸鏡北道、黄海南道、黄海北道、両江道

それぞれの道には、さらに多数の市や郡が存在し、地方行政が展開されています。このように多層的な行政区画は、北朝鮮特有の中央集権的な体制を強化しています。

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