黄金坪

黄金坪（ファングムピョン）とは

黄金坪（ファングムピョン、황금평）は、北朝鮮の平安北道薪島郡に位置する、鴨緑江河口の中州です。元々は中国本土とは隔てられていましたが、鴨緑江からの堆積によって中国の丹東市と陸続きになりました。かつては黄草坪と呼ばれていましたが、灌漑工事を経て北朝鮮屈指の穀倉地帯となり、黄金坪と改名されました。2006年以降は、中朝国境が鉄条網で仕切られています。

経済特区としての指定

2011年6月6日、北朝鮮は最高人民会議常任委員会の政令により、黄金坪と威化島を「経済地帯」に指定しました。その2日後の6月8日には、中国と北朝鮮が共同でこの地域を開発するための工業団地の着工式を行いました。

開発計画の経緯

2011年1月18日、北朝鮮が黄金坪を経済特区として開発するための特別法を制定したと報道されました。3月下旬には、中国側とみられる車両が出入りし測量を開始。4月29日には、張成沢・朝鮮労働党行政部長が5月末に丹東市を訪問し、黄金坪の開発問題で合意する見通しだと報じられました。5月16日には、張成沢・国防委員会副委員長が経済協力拡大のため中国の東北地域を訪問すると報道されました。

しかし、5月26日には黄金坪と羅先特区の開発事業の起工式が急遽中止されました。6月6日には、北朝鮮が「黄金坪・威化島経済地帯」の設置を発表し、6月8日には着工式が行われたものの、7月5日には中国側の消極的な姿勢を理由に、工事開始が11月以降にずれ込む見通しであることが報じられました。9月14日には、黄金坪島と羅先の経済協力地域に対する投資が全く行われていないことが明らかになりました。11月2日には、北朝鮮政府が黄金坪島の開発に向けた事務局を設置したと報じられました。

開発の頓挫

2012年2月9日、韓国の大宇造船が中国の日林グループと共同で、黄金坪経済特区と丹東一帯に船舶修理造船所や事業設備を建設すると発表しました。しかし、2月25日には、中朝両国が黄金坪島と威化島で進めてきた開発事業について、朝鮮労働党指導部が作成した内部文書で「挫折した」と表現されていると報道されました。この内部文書では、「黄金坪の50年間長期貸し出しは我が国の利益に合っていない」と指摘されていました。5月29日には、北朝鮮・黄金坪の共同開発は年内着工が困難であると報じられました。

黄金坪経済特区の開発は、当初は中朝間の経済協力の象徴として期待されましたが、実際には様々な問題に直面し、計画は頓挫しました。中国側の投資の遅れや、北朝鮮側の内部事情などが複合的に影響したと考えられます。今後の開発計画については、不透明な状況が続いています。

関連項目

威化島
羅先特別市

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