中朝国境

中朝国境の概要

中朝国境は、中華人民共和国（中国）と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の間に存在する国境で、国境線の総延長は約1,420キロメートルです。そのほとんどは自然の河川によって形成されています。

地理

中朝国境は、主に鴨緑江、豆満江（図們江）、および白頭山（長白山）からなります。これらの河川は、国境の大部分を占めており、鴨緑江だけで795キロメートル、全体の56%を占めています。さらに、豆満江は国境線の37%、白頭山は7%を占め、地域の重要な地形を形成しています。特に、豆満江の河口付近は、中露国境と露朝国境の交差地点でもあります。

国境沿いで最大の都市は中国の遼寧省に位置する丹東市で、対岸には北朝鮮の新義州市があります。この二つの都市は、鴨緑江デルタに位置し、中朝友誼橋によって結ばれています。

鴨緑江には205の島が存在し、1962年に結ばれた国境条約に基づいて、それぞれの島の帰属が民族によって分けられています。この結果、北朝鮮が127、中国が78の島を持つこととなりました。

歴史

歴史的には、朝鮮半島の初期の統一国家である新羅が大同江下流域を領有していた時代から、中朝間の領土争いは続いていました。さらに高麗時代には、鴨緑江下流域にまで領土が広がるなど、その範囲は拡大しました。特に李氏朝鮮時代には、北の国境が鴨緑江と豆満江となるなど、国境の確定が進みました。

1712年には、朝鮮政府が清の康熙帝の命を受け、白頭山とその周辺の国境に関する調査が行われ、石碑が立てられるなどして国境が定義されました。

その後も中朝国境をめぐる調査や交渉が行われ、最終的に1962年に締結された中朝国境条約によって国境線が確定しました。この条約により、鴨緑江と豆満江を国境とし、白頭山上の天池をほぼ二等分される形で国境が設定されました。

交通と通行

中朝国境は、丹東から新義州への中朝友誼橋をはじめ、いくつかの鉄道路線が通じています。また、丹東港は両国の貿易で重要な役割を果たしています。現地の鉄道は定期的に運行されており、国境を越えた旅も行われています。

国境警備

国境の長さは1,420キロメートルにも及び、抜け穴が多いため、脱北者が中朝国境を越えて中国に入る事例が報告されています。2003年以降、中国政府は国境警備を強化し、柵を設置するなどの対策を講じています。

2011年以降は、警備の強化にともない、新たな柵や施設の建設が進み、国境の安全が図られています。しかし、脱北の試みは依然として続いており、国境には多くの難しさが存在しています。

このように、中朝国境は単なる線引きではなく、歴史、地理、経済、そして政治が複雑に絡み合って形成されている重要な地域です。

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