黄金山神社 (涌谷町)

黄金山神社について

概要

黄金山神社（こがねやまじんじゃ）は、宮城県遠田郡涌谷町の黄金迫に位置する神社であり、日本で初めて金が産出された場所とされています。この神社は、『延喜式神名帳』における「陸奥国小田郡 黄金山神社」とも同定されており、かつては県社の格を持つ重要な神社です。現在では、商売繁盛の神として信仰されている主祭神が祀られています。

祭神

主祭神として崇められている金山毘古（かなやまひこ）神は、鉱山の神であり、長年にわたり商業の繁栄を祈念され続けています。神社にお参りすることで、訪れる人たちは金運を期待することができるとされています。

歴史

黄金山神社の由来は非常に古く、金が発見される以前から神々が祀られていました。そして、小田郡の人々は日下部深淵という神主を通じて信仰を続けていました。しかし、産金の前の神社の名称は不明です。
710年代には、聖武天皇が奈良での大仏の塗金用の黄金を必要としていました。当時は日本国内では金が取れず、全てを輸入に頼っていました。そんな中、陸奥国守の百済王敬福が小田郡で発見した900両の黄金を献上したのが749年4月22日のことでした。その際、金を採集し奈良に運ぶためには1年から2年が必要でした。実際に金が発見されたのは747年頃とされています。

この発見により、東大寺大仏は無事に完成し、小田郡は3年間の免税を受けることが決まりました。また、日下部深淵は外少初位下に昇進し、その後も時代ごとに神社の発展が続きました。781年頃には、現在の黄金山神社の地に瓦葺きの仏堂が建てられ、その後名称が黄金山神社へと改称されました。

中世の神社の様子は詳細にはわかりませんが、江戸時代には地元の人々から「初めて金が出た場所」として語り継がれていました。当時は社殿がなく、黄金山自体を神体として崇拝していました。

江戸時代の末期には、祭りは年々減少し、神社は荒廃していきました。しかし、国学者の沖安海が該当する場所を特定し、1835年には新たな社殿が建設されました。さらに1898年には大槻文彦が以前の研究を引き継ぎ、神社の重要性を再認識させました。

1957年には東北大学による発掘調査により、奈良時代の建築物の跡や高純度の砂金が見つかり、小田郡が金の生産地であることが確認されました。1959年にはこの地域が宮城県の史跡として指定され、1967年には国の史跡にも指定されました。

祭事

黄金山神社では、以下の祭事が行われています。

• - 1月1日: 元旦祭
• - 2月17日: 祈念祭
• - 9月15日: 大祭
• - 11月23日: 新穀感謝祭

アクセス

JR石巻線の涌谷駅から路線バスで約5分の距離に位置しており、神社の入口には「わくや万葉の里 天平ろまん館」が併設されています。この施設では遺跡の保存と展示が行われています。

参考文献

この神社に関する研究は佐々木茂楨の著作や、高橋富雄編『東北古代史の研究』に記載されています。興味がある方は公式サイトもぜひご覧ください。

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