黒くぬれ!

ローリング・ストーンズの金字塔「黒くぬれ!」：その誕生から半世紀以上を経ても色褪せない魅力

ローリング・ストーンズの「黒くぬれ!」(Paint It, Black)は、1966年に発表されたシングル曲であり、バンドのキャリアにおいて重要な位置を占める楽曲です。R&Bをルーツとするストーンズの音楽性を発展させ、後の作品にも大きな影響を与えた、画期的な作品と言えるでしょう。

新境地を開拓したサウンドと異色の楽器

この曲は、従来のストーンズの作風から大きく前進した作品として知られています。ミック・ジャガー自身は「トルコっぽい曲だ」と表現したように、オリエンタルな雰囲気も持ち合わせています。特に注目すべきは、ブライアン・ジョーンズによるシタール演奏でしょう。これは、ストーンズがシタールを取り入れた最初の事例であり、ジョージ・ハリスンからわずか数分で奏法を習得したという逸話は有名です。ビートルズの「ノルウェイの森」に先んじてシタールを使用していたことから、ビートルズの模倣と評されたこともありましたが、ジョーンズはこれを強く否定しています。

制作秘話：メンバーそれぞれの貢献

「黒くぬれ!」のレコーディングは、1966年3月、ロサンゼルスのRCAスタジオで行われました。作詞作曲はミック・ジャガーとキース・リチャーズですが、その過程には様々なエピソードが残されています。キース・リチャーズはメロディー、ミック・ジャガーは歌詞を担当したとされていますが、ビル・ワイマンは、自分がハモンドオルガンを演奏している時に、チャーリー・ワッツがリズムを刻み、ブライアン・ジョーンズがシタールでメロディーを奏で始めたことが曲の始まりだったと主張しています。そのため、ワイマンは全てのメンバーが作曲に関わったとして、作曲クレジットを「ナンカー・フェルジ」にするべきだと主張したほどです。また、ワイマンは曲に2本のベースラインとオルガンペダルを追加し、ペダルは足ではなく手で叩いたという、ユニークな演奏方法も披露しています。オリジナルタイトルにはコンマが含まれていましたが、これはレコード会社の意向によるものであり、近年ではコンマなしの表記が主流となっています。

各国のチャート制覇と高い評価

「黒くぬれ!」は、イギリスとアメリカでチャート1位を獲得し、カナダとオランダでも1位を記録するなど、世界的に大ヒットしました。1990年の再発時には、イギリスでは61位でしたが、オランダでは再び1位を獲得しています。「メロディー・メイカー」紙や「ニュー・ミュージカル・エクスプレス」紙など、当時の音楽評論誌からも高い評価を得ており、「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」にもランクインしています。

ライブパフォーマンスとメディアでの使用

リリース直後からライブで演奏され、その後長らく演奏されることがなくなりましたが、1989年から再び演奏されるようになりました。現在に至るまで、ストーンズのライブの定番曲となっています。また、映画やテレビドラマなど、様々なメディアで多用され、その影響力の大きさを示しています。映画『フルメタル・ジャケット』や『ディアボロス/悪魔の扉|ディアボロス_悪魔の扉』のエンドクレジット、テレビドラマ『Tour of Duty』のオープニングテーマなど、多様な場面で使用されています。さらに近年では、『ウエストワールド』や『ラスト・ウィッチ・ハンター』、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』といった作品でもカバーバージョンが使用されています。

数多くのアーティストにカバーされた不朽の名曲

「黒くぬれ!」は、数多くのアーティストによってカバーされています。クリス・ファーロウ、エリック・バードン、フレイミン・グルーヴィーズ、ディープ・パープル、U2など、様々なアーティストがそれぞれの解釈でこの曲を演奏し、新たな魅力を引き出しています。これらのカバーバージョンもまた、「黒くぬれ!」が持つ普遍的な魅力を示すものと言えるでしょう。

まとめ

「黒くぬれ!」は、ローリング・ストーンズの音楽史における重要な転換点となる作品であり、その影響は現在も音楽シーンに色濃く残っています。革新的なサウンド、制作秘話、高い評価、そして数々のカバーなど、様々な側面からこの楽曲を分析することで、その魅力をより深く理解することができるでしょう。時代を超えて愛され続けるこの楽曲は、これからも音楽史に刻まれた不朽の名曲として語り継がれていくことでしょう。

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