黒味岳

屋久島の秀峰、黒味岳

黒味岳は、屋久島の宮之浦岳南側に位置する標高1831mの山です。屋久島、そして九州においても6番目に高い山であり、その秀麗な姿は多くの登山者を魅了しています。また、九州百名山の一つにも選ばれており、屋久島の代表的な山として知られています。

屋久島三山と奥岳

屋久島には、宮之浦岳（1936m）、永田岳（1886m）、そして黒味岳を合わせた三つの山を「屋久島三山」と呼んでいます。これらの山々は屋久島を代表する山々として親しまれています。さらに、ネマチ（1814m）、栗生岳（1867m）、翁岳（1860m）、安房岳（1847m）、投石岳（1830m）といった山々を含めて「奥岳」と総称されることもあります。これらの山々のうち、海岸部から見ることができるのは永田岳とネマチで、黒味岳は栗生川河口付近から山頂の一部を望むことができます。

黒味岳の名前の由来と歴史

江戸時代に編纂された『三国名勝図会』では、屋久三岳として宮之浦岳、永田岳、そして栗生岳（異説として黒味岳の可能性も指摘されています）が挙げられています。また、『明暦屋久島大絵図』には「黒御嶽」という名称で記されており、このことが黒味岳の名称の由来になったとされています。「御岳」とは、屋久島で崇拝の対象とされてきた高峰に対する呼称でもあります。

黒味岳の自然と景観

黒味岳は、宮之浦岳を含む屋久島の山岳地域の一部であり、霧島屋久国立公園に指定されています。また、中央の山岳地帯は世界遺産の森林生態系保護地域保存地区にも指定されており、豊かな自然が保護されています。

山頂付近には、スギ、ヤクシマシャクナゲ、ヤクシマホツツジ、ミヤマビャクシンなどの低木が茂っており、他の奥岳で見られるヤクザサの生い茂る様子とは対照的です。また、高山植物の宝庫としても知られており、ヤクシマノギラン、イッスンキンカなど、屋久島の固有種も多く見られます。

黒味岳の山頂は、巨大な花崗岩で形成されており、節理による割れ目が見られます。山頂からは、宮之浦岳、永田岳など、他の奥岳の山々を一望できる絶好の展望スポットとなっています。さらに、黒味岳の南東側直下には、花之江河と呼ばれる高層湿原が広がっており、美しい景観を楽しむことができます。

登山ルート

黒味岳への登山ルートは、安房から林道を23km進んだところにある淀川登山口（1370m）から始まります。そこから宮之浦岳方面への登山道を進み、淀川小屋（1380m）、小花之江河（1630m）、花之江河（1640m）を経て、黒味分れ（1680m）に至ります。黒味分れからは、岩場を登り、黒味岳の山頂を目指します。

黒味岳は、その美しい景観と豊かな自然、そして登山ルートの魅力から、多くの登山者に愛される山です。ぜひ一度、その雄大な姿を体感してみてください。

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