永田岳

永田岳

永田岳（ながただけ）は、屋久島の北西部に位置し、宮之浦岳と対峙する山です。標高は屋久島で2番目、九州でも2番目に高く、西日本では10番目の高峰として知られています。古くは『三国名勝図会』に長田嶽、『明暦屋久島大絵図』に長田御嶽、『大隅国馭謨郡屋久島沿海図』に権現岳と記されていました。宮之浦岳、黒味岳と共に屋久島三山と呼ばれ、新日本百名山にも選定されています。

概要

屋久島の山岳地帯は大部分が屋久島国立公園に指定されており、永田岳を含む中央山岳地帯は世界遺産の森林生態系保護地域保存地区となっています。永田岳の山頂北東にはコルを挟んで永田岳II峰があり、さらに中之岳、ネマチ峰、障子岳と岩峰が連なっています。

屋久島は多くの峰が連なることから「八重岳」とも呼ばれ、海岸に近い山々を「前岳」、中央部の山々を「奥岳」と区別します。通常、奥岳は海岸部から望むことが難しいですが、永田川河口付近の永田地区からは、永田岳とネマチ峰を望むことができます。これは、県道沿いでは唯一の場所です。山頂直下の岩屋には一品宝珠大権現を祀る祠があり、永田岳は古くから永田集落の岳参りの山として、浜の砂が供えられ、信仰の対象となっていました。1448年には日増上人が訪れた際、すでに岳参りが行われていたと伝えられています。

海岸部付近では杉の人工林や亜熱帯性植物が見られますが、内陸部に入ると暖帯性の天然林が広がります。標高1,340m付近の姥ヶ岩屋からは屋久杉やヤクシマシャクナゲが見られるようになります。山頂付近は屏風のように切り立った尾根が特徴で、花崗岩が露出しています。山頂西側直下にはローソク岩と呼ばれる巨岩がそびえ立ち、山頂付近はヤクシマダケに覆われ、ヤクシマシャクナゲが点在し、イッスンキンカ、シャクナンガンピ、ヤクシマホツツジなどの高山植物も見られます。

登山ルート

永田岳への一般的な登山ルートは、淀川登山口から宮之浦岳を経由するか、荒川登山口から縄文杉、焼野三叉路を経て往復するコースです。また、大川の滝入口から林道に入り、原生自然環境保全地域を通る花山歩道を経て山頂に至るルートもありますが、登山道が荒れているため上級者向けです。

永田集落の永田橋を起点とし、横河渓谷、餅田橋登山口、水取谷、岳之辻、姥ヶ岩屋、左捲大檜、桃平、鹿之沢小屋を経由する永田歩道は、本来の岳参りの表参道でしたが、長い行程を必要とします。

永田岳は、その美しい景観と豊かな自然、そして歴史的な背景から、多くの登山者や参拝者を魅了しています。登山に際しては、十分な準備と体力が必要となります。

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