黒崎定三

黒崎定三

黒崎定三（くろさき ていぞう、1885年2月16日 - 1948年7月19日）は、日本の法制官僚、政治家です。明治から昭和にかけて、法制官僚として、また政治家として、日本の政治の中枢で重要な役割を果たしました。特に、二度にわたる法制局長官の経験は、彼の法制における深い知識と卓越した能力を示しています。

生い立ちと学歴

黒崎定三は、1885年に京都府で生まれました。郡山中学校、第三高等学校を経て、1911年に東京帝国大学法科大学を卒業しました。この頃の日本は、近代国家としての法整備が急務とされており、法学を修めた黒崎は、まさに時代が求める人材でした。

官僚としてのキャリア

東京帝国大学卒業後、黒崎は1911年12月に文官高等試験に合格し、逓信省に入省しました。通信局書記としてキャリアをスタートさせ、その後、法制局に転じ、参事官、内閣恩給局審査官、法制局書記官などを歴任しました。法制局では、法案の起草や審査に携わり、日本の法制度の根幹を支える重要な役割を果たしました。また、日独戦役講和準備委員、法制審議会幹事、交通審議会幹事など、多岐にわたる委員会で要職を務め、その能力の高さを証明しました。

法制局長官として

1933年3月、黒崎は齋藤内閣において法制局長官に就任しました。法制局長官は、内閣が提出する法案を審査する重要な役職であり、黒崎の法制に対する深い知識と優れた判断力が求められました。1934年7月までその職を務め、その後、貴族院勅選議員に任命されました。1939年1月には、平沼内閣で再び法制局長官に就任し、同年8月までその職を務めました。二度にわたる法制局長官の経験は、黒崎が日本の法制に深く関与していたことを物語っています。

貴族院議員として

法制局長官退任後、黒崎は1934年7月3日に貴族院勅選議員に任命されました。貴族院では、研究会に所属し、1946年5月17日まで議員を務めました。貴族院議員として、黒崎は法律や政策の審議に積極的に参加し、その見識を活かして議論を深めることに貢献しました。

その他の役職

黒崎は、法制局長官や貴族院議員の他にも、企画院参与、議会制度審議会幹事長、土木会議議員、大蔵省委員、国民更生金庫理事長など、多くの役職を歴任しました。これらの役職を通じて、黒崎は日本の行政や経済にも深く関与し、幅広い分野でその才能を発揮しました。

戦後と晩年

戦後、黒崎は公職追放となり、政治の世界から退きました。その後の人生については詳しい記録は残されていませんが、日本の法制史に大きな足跡を残した人物として、その名は歴史に刻まれています。

栄典

黒崎定三は、1921年7月1日に第一回国勢調査記念章を受章しています。

まとめ

黒崎定三は、法制官僚、政治家として、明治から昭和にかけて日本の政治の中枢で活躍しました。二度の法制局長官、貴族院議員など、数々の要職を歴任し、日本の法制度の発展に貢献しました。戦後、公職追放となったものの、その業績は今日の日本の法制に大きな影響を与えています。

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。
* 上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年。

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